渡辺香津美「ユニコーン」


最近、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)に凝っている。
ナニをいまさら
!?と思われる読者よ!友よ!!
いま聴いてもなかなかいいぞ、YMOは。
特に東風
(Tong Poo)がお気に入りで、
休みの日はここ数週間ずっと聴いている。

数ある
YMOの音源のなかで、
僕は
1979年に行われたYMO最初のワールドツアーのものが好きだ。
このツアーでの演奏は、
YMO3枚目アルバム
“公的抑圧(パブリック・プレッシャー)
として1980年にリリースされ、
僕も中学時代は毎日のように聴いていたものだ。

しかし、この“公的抑圧”にはひとつ問題があった。
このツアーにギタリストとして参加していた渡辺香津美のギターが、
当時彼が所属していたレコード会社の都合上、
カットされているのだ。

アルバム“公的抑圧”では、渡辺香津美のギターのかわりに
坂本龍一のシンセサイザーがオーバーダブされている。
いわばパッチモノのライブアルバムなのである。

後年、このツアーのオリジナル演奏がCDとなって発売された。
僕は勇んで買った。
渡辺香津美のギターソロもバッチリ収録されていた。
やっぱりこうでなきゃと、僕はスピーカーから流れてくる
YMOの演奏を聴きながら思った。

昔、TVKだかTXだかでこのときの映像が放送されたことがある。
当時はビデオデッキなどなかったので録画できなかったのだが、
ありがたいことにいまはY
ouTubeでその映像を観ることができる。
メンバー全員若いのだが、渡辺香津美はなかでも一番若々しい。

渡辺香津美は
1953年生まれだから、
このワールドツアー当時は
26歳ぐらいである。
26歳で世界を舞台に活動できるなんて、
実にうらやましい限りなのだが、
それも実力があってのことである。

『東風』で渡辺香津美は延々とギターソロを演奏するのだが、
その最後のほうで観客から大歓声が上がった。
渡辺香津美のギターテクは、異国の人々をも魅了したのである。
客席から沸きあがった大歓声を聞きながら、
ミュージシャン冥利に尽きる思いであったろう。

YMOのワールドツアー終了後、
渡辺香津美は髪を短く切り、ヒゲをはやした。
まるで別人のような風貌に驚いたものだが、
渡辺香津美は「
YMOのサポートギタリスト」という
パブリックイメージを払拭したかったのではないかと思う。
ミュージシャン渡辺香津美個人として、
勝負しようと思ったのではないだろうか?

そして発表されたのが“TO CHI KAという傑作アルバムである。
このアルバムに収録されている『ユニコーン』という曲は、
日立のオーディオブランド“
Lo-D”のCM曲に採用された。

かくいう僕も10代のころ“Lo-D”のステレオで音楽を聴いていた。
このステレオで聴いたレコード、このステレオでレコードを聴いた時間は、
いったいどれぐらいになるだろう?

それらのレコードは僕に多大な影響を与えてくれた。
それらのレコードが、僕にとって素敵な想い出の
1つひとつである。

渡辺香津美の“TO CHI KAも、その1枚である。

2007.06