田中星児「ビューティフル・サンデー」


一昨日、寝ているときに右足がツった。
高校生のとき以来、数年に一度
このように寝ているときに足がつる。
運動中に足がつるのも大変ではあるが、
寝ているときはもっと大変だ。
ひとりでツった足を伸ばさなければならないからである。

一昨日もまさに断末魔のひとときを送った後、
どうにかこうにかツった足を伸ばすことができた。
しかし、その後遺症で
右足のふくらはぎに痛みが残ってしまった。
今朝、いつものように早起きし、
明日までにやっておくべき仕事をすべて片づけた後、
昨日は多忙のため中止してしまった
恒例の週末ジョギングに出かけようとしたのだが、
大事をとって走るのをやめた。
で、
2時間ばかり歩いて来た。

歩くのにあたってルールを決めた。
絶対に走らないこと。
まっすぐ進むこと。
もし前方の信号が赤だった場合は、
青信号を優先して方向を変えること。

目的地は茗荷谷駅前。
我が家から春日通りを池袋方面に向かって
徒歩
10分程度のところである。
僕は自宅を出た後、
茗荷谷とは反対方向の後楽園方面へと向かった。

人生そのものが出たとこ勝負の僕であるが、
今日の散歩もまさに出たとこ勝負。
僕はただただ運命の流れにまかせ歩き出した。

春日通りを後楽園方面へまっすぐ下って、
まず文京区役所のあるシビックセンターの前で赤信号に遭遇した。
僕は春日通りを右折し東京ドーム方面へと向かい、
白山通りに出た。
ら、また赤信号に遭遇。
今度は白山通りを左折し、
再び春日通りに向かって歩き出した。

春日通りと白山通りが交差する春日町の交差点で
またまた赤信号に遭遇。
僕は白山通りを右折し、
春日通りを本郷三丁目に向かって歩き出した。
シビックセンターの前で
あのまま、まっすぐ春日通りを進んでいれば
ものの
200メートルの距離を、ぐるりと遠回りしたことになる。


そのままホテホテと春日通りの坂を登り
本郷三丁目に出たところでまたしても赤信号に遭遇。
すぐさま右折し、御茶ノ水方面へと歩き出したら
数百メートル進んだところで赤信号。
道路を渡り、本郷三丁目に引き返すかたちとなった。
そのまま東大正門前から西片の住宅街を通り、
白山通りを渡り、共同印刷前を通り、
春日通りに出て目的地である茗荷谷駅前へとたどり着いた。
だいぶ涼しくなったとはいえ、まだまだ暑い。
僕はただ歩いていただけなのに汗だくになって帰宅した。

先週は本当になにかとバタバタしていて、
10分でもムダに時間を費やすのが惜しいような日々だった。
こんな毎日は、精神衛生上よろしくない。
時間を贅沢に使うことが、最高の贅沢なのである。
だから今朝は、仕事がいち段落着いたところで、
とびっきり贅沢に時間を使ってやろうと思ったのだ。

日曜日の朝は、街の景色もいつもとは違う。
見慣れた景色ですら新鮮に映る。
ましてや今朝のように行き当たりばったりな散歩をすれば、
一度も通ったことのない道にも出くわす。
子どもの頃、
友だちと近所の見知らぬ場所を探検しに行ったときのような
ワクワクした気持ちを感じながら、
心地よいひとときを過ごすことができた。

まだ時間は朝の10時。
日曜日はこれからだ。
とりあえず今日はもう仕事をしなくていい。
何もかもが自由なのである。
こんな気分になったのは久しぶりだ。
思わず田中星児の『ビューティフル・サンデー』を口ずさみたくなるような、
そんな日曜日の朝である。

 

そういや子どもの頃、
友だちとこんな『ビューティフル・サンデー』の替え歌を
よく歩きながら大声で唄っていた。
『ビューティフル・サンデー』のメロディラインをご存知の方は、
ぜひ口ずさんでみてください。

 爽やかな赤ふん(どし)

  降り注ぐ赤ふん(どし) ←(  )部分はあいの手

  ヘイヘイヘイ♪イッツ・アン・赤ふん

   (作詞・高橋勝利)


2007.09