立花ハジメ「H


僕が大好きな早川義夫さんの歌に『H』というのがある。
「いやぁ〜ん、エッチね」のエッチについて唄った歌で、
早川さんが
23年ぶりの復活アルバム
“この世で一番キレイなもの”にも収録されている。

 とてもかわいい女の子 性格がよくて話が弾んで

 笑顔が素敵でいいにおい 少しエッチでかなりエッチで

  (作詞・早川義夫)

この1番の歌詞からして、すでにエロい。
これが
3番目の歌詞になると、さらにエロさ全開となる。

 僕のベッドと君のベッドを支えているのは二人の孤独

 君のあそこは僕のものだよ いやらしさは美しさ

早川さんのライブには、
RCサクセションのホーンセクションでもおなじみだった
元生活向上委員会の梅津和時氏が
よくゲストで参加していた
(いまもよく共演されている)
ライブでこの『
H』もよく演奏されたのだが、
間奏における梅津氏のサックスが、これまたエロいのだ。

僕はこれほどまでにエロい音色というものが、
この世に存在するのかと梅津氏のプレーを目の当たりにしながら
感心させられたものだ。

エロというと、どこか話題にすることを
敬遠するというか忌み嫌う風潮がまだ日本にはあるが、
僕はもっと堂々の自分のヰタ・セクスアリスについて
語り合っていいと思う。

うわべの趣味・嗜好を語り合うより、
よほどわかり合えると思うからだ。

早川さんは作品のみならず、
ご自身のホームページでもかなり堂々と
自分のヰタ・セクスアリスを発表されている。
僕が人生の師とリスペクトする不良オヤジ、
ロバート・ハリス兄も自著で赤裸々に記したり、
ラジオで発言したりしている。

そういう姿は、
やはりカッコいいなと思わずにはいられない。

カッコつけないから、自然に語れるのだ。
カッコつけないから、素直に語れるのだ。

心からそう思う。

早川さんは2003年、
以前から交流のあった佐久間正英氏と
Ces Chiensというユニットを結成し、
いまも活動している。
佐久間氏といえば「ああ四人囃子のベーシスト」とか
「ジュディマリや
GLAYのプロデューサー」とか
人によってさまざまな見方をされると思うが、
僕にとって佐久間氏といえば、
やはり
1980年代に衝撃的に登場したニューウェーブバンド、
プラスチックスである。

プラスチックスはイラストレーターの中西俊夫、スタイリストの佐藤チカ、
グラフィックデザイナーの立花ハジメらが中心となって結成されたバンドで、
ラモーンズやトーキング・ヘッズとも共演するなど、
海外でも高い評価を得た。

立花ハジメはプラスチックス解散後サックスにのめり込み、
自身のサックスをフィーチャーしたアルバムを発表し、
僕らを驚かせた。

タイトルは、その名もズバリ“H
であった。
世の中にはいろんな
Hつながりというのがあると思うが、
立花ハジメ、佐久間正英、そして早川義夫。
意外な
3人の意外なHつながりである。

僕もときたま、ひょんなことからひょんな人と
ひょんな共通点を見つけ出すことがある。

うれしい発見。
うれしいサプライズ。
だから、人生はおもしろい。
だから、人生はやめられない。

 

【追記】
早川さんが2002年に発表した2枚組のライブアルバム
“言う者は知らず、知る者は言わず”』には
梅津和時氏に加え、ヴァイオリニストのHONZI
そして関西のサイケ・ロックバンド
“ヰタセクスアリス”との演奏が収められている。

さらに、このアルバムには南青山
MANDALAの最前列に陣取る
僕の後ろ姿の写真もバッチリ収められている。
必見だ
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2007.07