杉真理「恋のかけひき」


伊藤銀次、山下達郎、そして大滝詠一の3人が
“ナイアガラ・トライアングルVol.1
を発表したのは1976年の325日。
それから
6年後の1982321日に発売されたのが、
“ナイアガラ・トライアングルVol.2
である。

メンバーは大滝詠一、佐野元春、杉真理の
3人。
このアルバムの発売に先がけて
前年の
1021日に発売されたのがシングル『A面で恋をして』である。
この曲は・・・もろにバディ・ホリーの『エヴリーディ』に似ているのだが、
そんなことはさておき・・・資生堂の
CMソングにも使われた。
コピーは広告界の大御所、土屋耕一さんによるものである。

大滝・佐野・杉の3人で
ナイアガラ・トライアングルを結成すると発表されたのは
19817月、
新宿のルイードで行われたイベントにてであった。
当時、大滝詠一と杉真理は同じレコード会社だったのだが、
佐野くんだけ違ったので、
これは正当な手続きを踏んでいたら
会社の壁が障害になって実現不可能と思った大滝詠一が、
サプライズ的に発表してしまうことで
強引に既成事実をつくろうと考えたというエピソードは有名である。

僕は佐野くんのラジオで、そのニュースを知ったのだが、
実をいうとこの当時、僕は杉真理というアーティストを知らなかった。
ので、“ナイアガラ・トライアングルVol.2

杉真理との出会いということになる。

この“ナイアガラ・トライアングルVol.2の発売当日、
僕はサッカーの合宿のためレコードを買いに行くことができなかった。
なので、僕がこのレコードを買ったのは、ちょっと遅れてである。

買って帰るとすぐに、
ワクワクしながら買ってきたばかりのレコードに針を下ろし、
A面から聴いていった。

佐野くんの『マンハッタンブリッジにたたずんで』に続いて流れてきた、
杉真理の『
Nobody』はすごくポップなナンバーで、
すぐに気に入った。
そして、ポップ・ソングライターとしての
杉真理の才能の素晴らしさを知ることとなった。

杉真理の曲で、
僕がもっとも好きなのが『恋のかけひき』である。
この曲は“ナイアガラ・トライアングルVol.2
』以前の
1980年にリリースされた“SONG WRITERというアルバムに収められている。
つまり、僕はこの曲を追体験で知ったということになる。

遅ればせながらこの曲を聴いて、
大滝詠一が杉真理をナイアガラ・トライアングルのメンバーに選んだ理由が
わかったような気がした。

“ナイアガラ・トライアングルVol.2
以降も、
堀ちえみが出演したグリコの
CMソング
『バカンスはいつもレイン』の大ヒット
(1982)や、
踏み切り前で若いカップルが頬をひっぱたき合う映像がなんとも印象的だった
シチズンの
CMソング、
ハイ・ファイ・セットの『素直になりたい』の作詞作曲
(1984)など、
コンスタントに良質のポップソングを発表し続けた。

いつからだかは忘れてしまったが、
杉真理はダジャレの大家としても不動の地位を築きはじめ、
あちらこちらでダジャレを連発している。
そのダジャレの世界は杉真理の公式ウェブサイトでも垣間見ることができるので、
興味がある人はぜひ覗いてみてほしい。

「あなたは青春の酢の物」とか「イナヴァウアーの白ウサギ」とか、
それはそれはすさまじい世界である
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杉真理は、この325日デビュー30周年を迎える。
もう齢
50を越える大ベテランだ。
しかし、杉真理の顔はいまも少年のようである。


杉“
BABY FACE”真理、デビュー30周年おめでとう♪
これからも良質のポップソングとくだらないダジャレを、
たくさん届けてちょうだい。


2007.03