SHOGUN「男達のメロディー」


僕がバンダイ先生の宿題に苦しんでいた中21学期、
毎週楽しみにしていた番組に“俺たちは天使だ!”がある。
この番組は沖雅也演じるキザだけど、ちょっとコミカルな探偵をキャップに
渡辺篤史、柴田恭兵、神田正輝、多岐川裕美らが勤める探偵事務所を舞台にしたドラマで、
毎週日曜日の午後
8時からNTVで放映されていた。

1970年代末から80年代はじめにかけてのNTVは、
松田優作の“探偵物語”や
“プロハンター”など、
探偵モノの名作ドラマを数多く生んでいる。

この“俺たちは天使だ!”も、その
2作とそん色ない名作ドラマで、
何年か前には全話を収録した
DVDセットも発売された。

僕は“俺たちは天使だ!”を、
放映当時リアルタイムで観た以外は観ていない。
再放送がされたのかどうかも知らない。
なので、ぜひもう一度観たいと願っていたドラマのひとつである。

DVDセットが発売されたとき欲しいなと思ったのだが、
結局はあきらめた。
買ったところで、そんなに何度も観られないだろうと思ったからである。
いまは、いつか
CSで再放送される日を心待ちにしている次第だ。

このドラマの主題歌『男達のメロディー』を唄っていたのがSHOGUNである。
SHOGUNは芳野藤丸を中心とした
腕利きのスタジオミュージシャンたちが集まってつくられた
One Line Bandがルーツである。
One Line Band1978年に発表した
“イエロー・マジック”というアルバムに目をつけた
NTVスタッフが
“俺たちは天使だ!”の音楽担当に抜擢、
『男達のメロディー』は
50万枚を超える大ヒットとなった。

『男達のメロディー』の歌詞の一節、
「運が悪けりゃ死ぬだけさ」
(作詞・喜多條忠)は番組のコンセプトでもあり、
とても印象的なフレーズであった。
ほかにも「男だったら流れ弾のひとつやふたつ胸にいつでも刺さってる」
というフレーズも好きだった。
何とも自由な空気を詞のなかから感じていたのである。

中学2年生の自由なんて限られている。
2のころは「こんなことが一生続いたらヤだな」と思うことがたくさんあった。
実際、そんなことはないわけで、
大人になったほうがはるかに自由だし、人生もいっぱい楽しめる。
似たようなことをたしか中島らもも書いていた。

もしいま、何かに悩んだり苦しんだりしている少年少女がいたら、
僕は「時間が必ず解決してくれる」と励ましてあげたい。
10代で絶望するなんて早すぎる。
そんなことは大人になってから、存分に体験すればいいのだ。
そして絶望を乗り越えるたびに世の大人たちは、
カッコいいオトコになったり、美しい女性になったりしているのだ。

先日、昨年11月のビリー・ジョエルの来日公演の模様がテレビで放映されていたが、
ビリー・ジョエルもかつては人生に絶望したことがある。
自分のルックスにコンプレックスを持っていたこともその一因だと聞いた。
ビリー・ジョエルは若い頃にくらべ、
さらに小太りになり、しかもハゲてしまっている。
でも僕はいまのビリー・ジョエルは若い頃よりもカッコいいと思う。
まるで映画“アンタッチャブル”のショーン・コネリーのようだと思った。
歳月を重ねなければ出てこないカッコよさがあるのだ。

「運が悪けりゃ死ぬだけさ」なんて覚悟を決めて生き続けていれば、
きっと男の顔つきも違ってくるだろう。


2007.06