ラトルズ「ホールド・マイ・ハンド」


今年も128日がやってきた。
いわずと知れたジョン・レノンの命日である。

今朝、僕は例によって週末恒例のジョギングがてら
武道館へと行ってきた。
今日は武道館でオノ・ヨーコさん提唱による
「ジョン・レノン スーパー・ライブ」が行われる。
このコンサートも今年で
7回目を迎えるそうだ。

僕が武道館に着いたとき、すでに機材の搬入が行われていた。
コンサートの開演は
18:00
きっといまごろ武道館前には多くのファンが早くも詰めかけていることだろう。

先日も書いたが、
僕はジョン・レノンを「愛と平和の人」と形容するのに違和感を覚える。
そして凶弾に倒れたジョンを、まるで殉教者のように語ることにも
違和感を覚えてならない。

ジョンは1人の人間だったのだ。
時には奥さんに暴力を振るい、そして奥さんの留守中に浮気をする、
どうしようもないごく普通のオトコだったのだ。
僕はそんなジョンのほうが、
よっぽど「愛と平和の人」なんて言葉で語られるジョンよりも、
身近に感じられる。

とはいえ僕はDVを肯定しているワケではない。
それは絶対に良くないことだ。
しかし、その良くないことをやってしまうジョンの人間臭さが、
僕は好きだ。
決して聖人君子ではないのだ、ジョン・レノンというオトコは。

今朝の新聞に「ベッドから平和祈ろう」という見出しの記事が掲載されていた。
ジョンとヨーコによる「ベッドイン」にならい、
平和をイメージした柄のシーツに寝転んで
平和をアピールしようというイベントが今日と明日、
代々木公園で行われるという記事であった。

別にそのイベントの主旨に異議を唱えるつもりはない。
が、僕は絶対に行かない。
僕は僕なりのやりかたでジョンを追悼する。

ジョンが亡くなってから、今日で28回目の128日である。
きっと今日も街のあちらこちらで『イマジン』や『ハッピークリスマス』、
『平和を我らに』が流れているだろう。
しかし、僕はそれらのメロディに耳を貸さない。
今年はジョンの命日を笑い飛ばしてやると決めたのだ。

読者よ! 友よ!!
諸君らはラトルズの
“オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ〜四人もアイドル”をご存知だろうか
?

これはイギリスの伝説的コメディ番組“モンティ・パイソン”の中心人物、
エリック・アイドルらによるビートルズのパロディ映画で、
ビートルズの結成から崩壊までをラトルズというバンドに置き換えて
忠実につくられたものである。

ゲスト陣も豪華で、ミック・ジャガーやポール・サイモンが
ラトルズについてもっともらしくインタビューを受けているほか、
テレビレポーター役でジョージ・ハリソンまでもが出演している。
まさに一大プロジェクトのパロディものといっても過言ではない。

このラトルズのスゴイところは、
パロディながらオリジナルとしてもしっかりと成立しているところである。
どういうことかというと、この“四人もアイドル”で使われている曲は、
すべてラトルズのオリジナルソングである。
しかし、そこはビートルズのパロディ。
微妙に似ているのだが、ちょっと違う曲に仕上げてある。
『オール・マイ・ラヴィング』によく似た『ホールド・マイ・ハンド』や
『ゲット・バック』によく似た『ゲットアップ・アンド・ゴー』など、
ラトルズの曲は
YouTubeでもいくつか観ることができる。
興味がある人は「
RUTLES」で検索してほしい。
楽しめること請け合いである。

これらのラトルズの曲は、本当にクオリティが高い。
オリジナルとしても通用するパロディというのは、
創れるようでなかなか創れるものではないと思う。
事実、ラトルズの『チーズ・アンド・オニオン』という曲は、
ジョン・ノレンのボーカルにあまりにも似ているため、
ジョンの未発表曲ではないかとビートルズの海賊版にも収められたという。
いかに、このラトルズが素晴らしいものか、
このエピソードだけでも十分伝わると思う。

と、そんなことはさておき、
このラトルズの“四人もアイドル”は文句なしにゲラゲラ笑える作品である。
今夜はラトルズとともに過ごすのである。
ラトルズを観ながら大笑いしてやるのだ。

世界中に1人ぐらい、
こんな
128日を過ごすヤツがいてもいいだろう。

 

2007.12