リッチー・バレンス「ラ・バンバ」


昨日、久々に“ペギー・スーの結婚”という映画を観た。
今週
CSで放送されていたのを録画しておいたのだ。

主演はキャスリーン・ターナー。
ニコラス・ケイジ演じる同級生の夫との間に
2人の子どもを授かったのだが、
夫の浮気が原因で離婚を考えているというところから物語ははじまる。
その夜に開かれた同窓会で、
キャスリーン演じるペギー・スーはクイーンに選ばれた。
あまりの突然のことに驚いたペギー・スーはステージ上で卒倒。
そのままなぜか、
25年前へとタイムスリップしてしまう。
そしてタイムスリップしたペギー・スーは、
高校生として
25年前の夫や同級生たちと会う。

この映画が日本で公開されたのは1987年。
この時点でキャスリーンは
30歳を超えていた。
そのキャスリーン・ターナーが高校生を演じるというのはどう考えても無謀なのだが、
不思議と違和感はなかった。

キャスリーン・ターナーという女優は、いわゆる美人女優ではないが、
素敵で美しい女性だと思う。
はじめてスクリーンでキャスリーン・ターナーを観たのは
マイケル・ダグラスと共演した“ロマンシング・ストーン
/秘宝の谷”であったが、
とても魅力的な主人公を生き生きと演じていた。

この“ペギー・スーの結婚”でも彼女の演技は光っており、
アカデミー賞にもノミネートされた。

“ペギー・スーの結婚”というタイトルは、
僕が敬愛してやまない伝説のロックンローラー、バディ・ホリーの
『ペギー・スーの結婚』からきている。
そのため同窓会のパーティ会場で演奏するバンドのリードヴォーカリストは
黒ブチのメガネをかけたバディ・ホリーによく似た男性が演じていたり、
ニコラス・ケイジ演じるチャーリーの愛犬の名がエルヴィスだったりと、
ロックンロール音楽を愛する者にとって、
思わず反応せずにはいられない小ネタがたくさん散りばめられている。

ラストシーン近く、タイムスリップから戻り、
病院のベッドで意識を取り戻したペギー・スーの脇に夫のチャーリーがいる。
チャーリーは、これまでのことを詫びて、またやり直そうと語る。
その際、付き合っていた浮気相手についてこう語る。
「モノを知らない女だ。ビッグ・ボッパーをハンガーだと思ってる」

ビッグ・ボッパーとは、
バディ・ホリーとともに飛行機事故で亡くなったアーティストである。
ビッグ・ボッパーをハンバーガーと勘違いするような女性は、
僕でもちょっとゴメンである。

バディ・ホリー、ビッグ・ボッパーとくれば、
リッチー・バレンスのことを忘れてはいけない。
リッチーも同じ事故でバディ・ホリーらとともに亡くなっている。
17歳という若さであった。

久々に“ペギー・スーの結婚”を観て、
ロックンローラー魂が揺さぶられてしまった僕は、
勢いづいてこれまた
1987年に公開されたリッチー・バレンスの伝記映画
“ラ・バンバ”を観てしまった。
おかげでいまもアタマのなかでは
リッチーの唄う『ラ・バンバ』のキャッチーなメロディが鳴り響いている。

1987年のいまごろは、
街中に『ラ・バンバ』のメロディがよく流れていたような気がする。
この年の大晦日、
紅白歌合戦ではあの菅原洋一さんが『ラ・バンバ』を唄った。
僕のなかでは、この『ラ・バンバ』を唄った菅原洋一さんの映像と、
1984年にジュリーが『アマポーラ』を唄った映像が、
「もう一度観てみたい思い出の紅白歌合戦」である。

紅白歌合戦といえば、
エンケンこと遠藤賢司が
118日のライブで、
「紅白に出たら富士山頂からこの歌を唄いたい」といって『夢よ叫べ』を唄った。
紅白歌合戦を熱心に観なくなってから久しいが、
エンケンが出るとなれば話は別である。

今年の1月に発売されたCD9+特典DVD1枚という超ド級のボックスセット
“遠藤賢司実況録音大全 第一巻”のなかにも、
エンケンが「おかげさまで今年も紅白歌合戦連続不出場記録を更新できました」と
MCで語っているのが収録されている。
いまから
30年以上前に録音されたものである。
多くのフォーク歌手が紅白はおろかテレビにそっぽを向いていた時代に、
紅白に出たがっていたというのも興味深い。
それから一貫して紅白に出たがっているというのも、
遠藤賢司というアーティストを象徴しているようだ。

今年でなくともいい。
一度でいいからエンケンが紅白で『夢よ叫べ』を唄うのを観てみたい。
きっと多くの人の心を揺さぶる演奏
(映像)になると思うけどなぁ。


2007.11