リンゴ・スター「想い出のフォトグラフ」


1年前の昨日の日記に原田芳雄さんのことを書いた。
去年の
1110日に行われた芳雄さんのライブに行けなかったことを書いたのだが、
ナント昨日、生の芳雄さんを見てきた。
それも間近で。

今月、六本木のシネマート六本木でATG映画特集をやっているのだが、
昨日はそのイベントの一環として原田芳雄さんのトークショーが行われたのだ。

このATG映画特集では日替わりで
ATGの歴史を彩った名作映画を14本上映しているのだが、
昨日の上映作品は寺山修司が監督を務めた“田園に死す”と“さらば箱舟”、
そして黒木和雄監督の“祭りの準備”“竜馬暗殺”であった。
いずれの映画も芳雄さんが出演されているのだが、
大の寺山マニアである僕からすれば“田園に死す”も“さらば箱舟”も観たい。
しかしながら、芳雄さんのトークショーは昨日の最終上映作品“竜馬暗殺”の上映前。
さらに“祭りの準備”は一度も観たことがなかったので、これも観たい。
1日中、映画館に居座るのは時間的にも体力的にもキツすぎることから、
寺山作品はあきらめ“祭りの準備”と“竜馬暗殺”の
2本を観ることにした。

芳雄さんのトークショーが行われると知ったのは先月であった。
芳雄さんの大ファンである友だちが教えてくれたのである。
それは絶対に行かねばなるまいと思い、
トークショーの整理券配布初日・
1027日、
雨のなかを六本木まで出かけて行った。
朝イチでどうしても外せない用事があったため、
それを済ませてから急いで六本木へと向かった。
整理券の配布が終了しては元も子もない。
僕は焦る思いで地下鉄を乗り継ぎ、
六本木に着くや否や一目散にシネマート六本木に駆け込んだ。

着いたのはお昼近くだったので、
果たして整理券が残っているかどうか心配だったのだが、
もらった整理券の番号はナント
1番であった。

芳雄さんに会える。しかも間近で。
僕は指折り数えながら、昨日を待った。

実は1025日に、
僕は
Bunkamuraのオーチャードホールで芳雄さんを見ている。
東京国際映画祭の特別上映作品“オリヲン座からの招待状”の舞台挨拶に
主演の宮沢りえ、三枝健起監督とともにいらしたのだ。
宮沢りえが舞台挨拶に来るというのは事前に聞いていたのだが、
芳雄さんが来るとは予想だにしていなかったので、
司会者の方が芳雄さんの名前を紹介したときは、
思わず「オーッ
!!」と声を上げてしまった。

生の芳雄さんを見るのは、実にこのときが13年半ぶりであった。
67歳になっても芳雄さんは、
僕が少年の頃から憧れ続けてきた男の理想像そのままに
相変わらず素敵でカッコよかった。

このときははるか前方の芳雄さんの姿を見るだけであったが、
六本木シネマートでのトークショーは距離感が違う。
しかも僕は整理券番号
1番。
絶対最前列で見てやろうと意気揚々と会場に入り、最前列に陣取った。
ATG映画にまつわる興味深いエピソードを聞きながら、
僕は芳雄さんの一挙手一投足を見つめていた。
実に至福のひとときであった。

ATGは良質のアート系映画をより多くの人々に届けるという主旨のもと、
低予算ながら他の映画会社とは一線を画す非商業主義的な映画を数多く製作し、
日本の映画史に多大な影響を与えた。

僕も10代のころはさまざまなATG映画を、
当時あった情報誌「シティロード」で上映情報をチェックし、
あちらこちらの名画座に出かけては熱心に観ていたものである。
いまは名画座自体が東京でも少なくなり、
ATG映画のような過去の名作をスクリーンで観られる機会もそう多くない。

その意味でも今回の六本木シネマートの
ATG映画特集は、うれしい催しだった。


映画といえば、
ジョージ・ハリソンも映画のプロデュース業を行っていた時期がある。
マドンナとショーン・ペンが共演した“上海サプライズ”をはじめ、
数々の作品の製作に携わったが商業的にはほとんど成功しなかった。

今日1129日はジョージ・ハリソンの命日である。
米フロリダ時間の
112913:30(日本時間では11306:30)
ジョージは静かに息を引き取った。
このジョージのドキュメンタリー映画が
マーティン・スコセッシ監督によって製作されるという話がある。
いつ完成・公開されるかについては、いまのところさっぱりわからないが、
ジョージファンならずとも必見の佳作となることを期待したい。

ジョージが亡くなってから、もう丸6年経つのである。
今月に入ってからジョージ関連の
DVDを引っぱり出しては時間をみつけて観ている。
ジョージが亡くなった翌年の
1129日に
ロイヤル・アルバート・ホールで行われたジョージの追悼コンサート
「コンサート・フォー・ジョージ」はエリック・クラブトンやポール・マッカートニー、
リンゴ・スターをはじめジョージにゆかりのあるミュージシャンが一堂に会し、
豪華な演奏を繰り広げた。
このコンサートでリンゴはリンゴのソロとしては最大のヒット曲であろう
『想い出のフォトグラフ』とビートルズ時代にカバーした
カール・パーキンスの『ハニー・ドント』を唄った。

ジョージが亡くなる直前、ポールとリンゴはジョージと食事をともにし、
最後には
3人に抱き合って泣いたと伝えられている。
大の仲良しだった頃もある。
仲違いをしていた時期もある。
そんな時間を飛び越えて、
3人はなにを思ったのだろう。

きっとこのときの3人の心には、
ジョンも含めた
4人の素敵な想い出のフォトグラフが
いっぱい貼られたアルバムがぎっしりとつまっていたと思う。


2007.11