パティ・スミス「カナ」
昨夜は以前勤めていた会社の社長&GMと上野で会ってきた。
3人で集まれば、帰るのは早くて夜中の2時3時。
ヘベレケ状態のなかタクシーで帰路につくというのが相場だったが、
昨日は違った。
12時前にシャンとして帰って来ることができたのである。
なぜか!?
実は一昨日、社長が親知らずを抜いたからなのだ。
前々から虫歯になっていた親知らずを放置しておいたら一昨日、
仕事中に猛烈に痛み出し、
辛抱たまらず歯医者に駆け込んだところ有無をいわさず抜かれたそうなのだ。
この抜かれ方が尋常ではない。
根っこから腐っていたらしく、すんなりと抜くことができず、
歯茎を切開して抜いたというのだ。
所要時間、実に1時間と10分。
僕は生ビールを飲みながら、社長の抜歯の様子を震える思いで聞いた。
もちろん社長はウーロン茶だった。
なので、いつもより早く帰れたという次第である。
僕は親知らずが4本しっかり生えていたのだが、
15年位前に右の上の歯を抜いてもらった。
虫歯になっていたので、もはやこれまでと限界を悟り、
自ら志願して抜いてもらったのだ。
ここの歯医者の先生は、家族ぐるみで付き合っていた先生で腕も良かった。
なので、痛みもなく、すんなりと抜いてもらえた。
19年ほど前、僕も仕事中に歯が痛くて痛くてたまらなくなり、
会社近くの歯医者に駆け込んだことがある。
その数日前から歯茎が腫れて痛みがあったのだが、
まあなんとかなるだろうとタカをくくっていた。
しかし、虫歯は絶対なんとかならない。
必ず痛みはやってくる。
それも急に、猛烈に。
僕はこの経験から、
問題を先送りしてもよい結果は得られないということを身をもって学んだ。
このとき駆け込んだ歯医者がこれまたヒドイ歯医者で、
僕の腫れている歯茎をガリガリとピンセットで削り出したのだ。
しかも麻酔ナシで。
僕は声にならない断末魔の悲鳴をあげながら、
映画“マラソンマン”におけるダスティン・ホフマンを想い出していた。
この映画でダスティン・ホフマン演じる主人公が歯を削られ、
ムキ出しになった神経にビリビリ刺激を与えるという拷問シーンがある。
まさに、その心境だったのだ。
歯茎をガリガリ削られながら、僕はあまりの痛さに涙が出てきた。
僕が痛みで泣いたのは、人生においてこれが唯一の経験である。
読者よ! 友よ!! それほど痛かったのだ。
さらに僕は治療する際にタオルで目隠しされていた。
これがなんとも恐怖心をあおり、
治療途中でもいいから一刻も早くこの場から解放されることを祈っていた。
そんな人の気も知らず、ひと通り治療を終えたこの悪魔のような歯科医は、
涙目の僕に対し「親知らずがありますね。後日、抜きましょう。
覚悟しておいてください」といい放った。
「覚悟しておいてください」とは何事だ!!
患者をビビらせてどうする? 2度とこんなところにくるものかと、
僕は逃げるようにしてその歯医者をあとにした。
こんな経験はもう二度としたくないので、
僕はワリと定期的に歯医者に通うようにしている。
そんなハナシを昨日、社長とGMに話したところ、
GMも「僕もちゃんと行こう」と真顔で語っていた。
昨日、いちばん驚いたのは僕の元秘書(ウソ)のコクブさんが、
妊娠6か月であるということを聞いたときであった。
コクブさんが結婚したのは去年の4月30日。
来年はコクブさんもお母さんになるのかぁ〜と、
僕はその話を聞きながら甥っ子姪っ子の誕生を心待ちにする
伯父さんのような心境になった。
僕がこんなことをいうのもナンだが、
いま子どもを取り巻く社会的な状況は決していいとは思えない。
今年も子どもが被害を受けた、たくさんの悲しいニュースがあった。
子どもに罪はないのに。
僕はそんな話を聞くたびに心が痛む。
昨年の夏、「パンクの女王」パティ・スミスが『カナ』という曲を発表した。
カナとは、
イスラエル軍の爆撃によって子どもを含む多くの民間人が犠牲になった村の名前である。
パティはこの曲のリリースにあたり
「カナはキリストによる最初の奇跡が起こった場所とされている。
水がワインに変わった。いまや、カナにワインなど流れてはいない。
血だけ。血だけが」というコメントを併せて発表し、
ブッシュ政権とイスラエルに強い批判の態度を示している。
2007年もあと10日あまり。2008年はもうすぐだ。
2008年こそは、すべての子どもたちにとって
明るい未来のはじまりであってほしいなと心から願う。