尾崎亜美「フォー・ユー」

コピーライターとして、
いつかは超えたい広告がいっぱいある。

なかでも仲畑貴志さんが
1980年に手がけた
丸井の広告はその筆頭だ。
僕はこの作品が最高賞を受賞したときの広告年鑑を、
いつも手元においている。

「好きだから、あげる。」というキャッチコピーがつけられた
この広告
CMソング『フォー・ユー』を歌っていたのが、尾崎亜美である。


尾崎亜美を知ったのは、小学校
6年生のときである。
資生堂の
CMソング『マイ・ピュア・レディ』を聴いて、
興味をもつようになった。

以来、彼女が世に送り出した名曲は数え切れない。
尾崎亜美の歴史は、
そのまま日本の音楽史といっても過言ではないと思う。

ファーストアルバムをプロデュースしたのが松任谷正隆ということもあり、
尾崎亜美はポスト・ユーミンの最右翼と目されていたという。
しかし、僕はユーミンよりも尾崎亜美のほうがダンゼン大好きである。
日本が誇る、最高の女性ソングライターだと思う。

尾崎亜美のなにがよいかといえば、
やはりその類まれなるポップセンスであろう。
前述の『フォー・ユー』

尾崎亜美の、あるいは杏里の代表曲といえる『オリビアを聴きながら』などの
バラードチックな曲もそれはそれで魅力的ではあるのだが、
僕は岩崎良美に提供した『ごめんね
Darling』のようなアップテンポの曲のほうがいい。

岩崎良美は松田聖子や田原俊彦らと同期デビューだが、
僕はデビュー当時から彼女の歌が大好きだった。
いわゆるアイドルとしてではなく、
シンガーとしてファンだったのである。

シングルも数枚持っていた。

去年
1224日に行われた
エンケンのディナーライブの前売り券を購入しに行った当日、
会場の南青山
MANDALAに出演していたのは岩崎良美だった。
おー!彼女はまだシンガーとして活動しているんだと思ったら、
とてもうれしかった。

前売り券を購入する際、リハーサル中の歌声が聞こえてきた。
スローテンポなアレンジで『上を向いて歩こう』を歌っていた。
それは、深みのある大人の歌声であった。

宣伝になってしまうが、
この南青山
MANDALAは実にいいライブハウスである。
雰囲気も落ち着いていて、
まさに大人が楽しめるライブハウスなのだ。

僕が
10代の頃から聴いていたアーティストも数多く出演している。
山本達彦もその1人で、僕はいつか行こう行こうと思いながら、
まだ実現には至っていない。
ぜひ、実現したい楽しみなことのひとつである。

尾崎亜美は1997年に
サディスティック・ミカ・バンドのベーシスト小原礼と結婚し、
昨年はデビュー
30周年を迎えた。

ミュージシャンとしても、ひとりの女性としても、
もう大ベテランの域である。
しかし、僕のなかでの尾崎亜美は永遠のポップス少女のイメージがある。
ぜひ、また素敵なポップスを次々と生み出してほしい。


もちろん僕も負けてはいられない。
僕も、人々の心に届く広告を次々とつくり出すつもりだ。


2007.01