中条きよし「うそ」
3月4日は、僕の大好きな“怪優”佐野史郎の誕生日である。
ほかに誰かいるかなと思い調べてみたら、
中条きよしもそうだった。
いまではすっかり俳優のイメージが強い中条きよしではあるが、
僕は中条きよしが歌手としてデビューしたときのことを憶えている。
その昔、“全日本歌謡選手権”という番組があった。
プロ・アマを問わず出場できるオーディション番組で、
中条きよしはこの番組からデビューした。
ちなみに、五木ひろしや八代亜紀もこの番組の出身者である。
僕は親がその番組のファンだったこともあって、
見るともなしに見ていたのだが、
不思議といろんなことが記憶に残っている。
初代司会者は長沢純という人で、
2代目の司会者はご存知、浜村淳であった。
中条きよしの歌も、たぶんテレビを通して覚えたのであろう。
デビュー曲の『うそ』はもちろん、『うすなさけ』や『理由(わけ)』など、
いまでもなんとなく唄えてしまう。
実は僕は、ムード歌謡を唄わせるとうまいのだ(笑)。
ムード歌謡の歌い手としては、
米米クラブのカールスモーキー石井が僕のライバルだと勝手に思っている。
中条きよしといえば、
歌手としてのイメージも僕のなかには残ってはいるものの、
やはり“必殺シリーズ”の三味線屋・勇次である。
なにを隠そう僕は必殺シリーズが大好きで、よく観ていたものだ。
足かけ20年にわたる必殺シリーズの歴史のなかでも、
中条きよしが演じた三味線屋は出色のキャラクターだったと思う。
必殺シリーズを語る場合、
僕はいくつかのチェックポイントを設けている。
@仕事人(殺し屋という表現は不適切なので、便宜上「仕事人」とさせていただく)のキャラ
A仕事のし方
B仕事の際のBGM
Cオープニングナレーション
Dエンディングテーマの5つで、
この総合力で判断すると、やはり“新・必殺仕置人”がシリーズ最高作となる。
次点が中条きよしも出演していた“必殺仕事人W”で、
3位は中村敦夫さんが出演していた“必殺仕業人”か、
故沖雅也が出演していた“必殺仕置屋家業”が同率といったところであろうか。
よくいわれていることではあるが、
必殺シリーズは、とにかく映像が美しい。
光と影をたくみにつかった必殺の映像美は、
アートの領域といっても過言ではない。
事実、カールスモーキー石井が通っていた文化学院では、
生徒に必殺シリーズの映像を見せて授業を行っていたという。
聞いたところによると、必殺がスペシャルドラマで復活するという。
藤田まことが中村主水としてよみがえる
(映画『必殺!主水死す』で一度死んだはずなのに。
まるでジェームス・ボンドのようである)のはいいが、
仕事人たちが東山や松岡といったジャニーズの面々というのが、魅力的ではない。
必殺シリーズはマニアックなファンが多いだけに、
このキャスティングで往年のファンを納得させる作品がつくれるのか?
制作サイドの手腕に期待したい。
もし僕が必殺シリーズのプロデューサーだったら、
ぜひ出演してほしい俳優がいる。
佐野史郎である。
“怪優”佐野史郎の仕事人、観てみたい。