松尾清憲「愛しのロージー」

昨日、少女隊がかわいかったという話題に触れたが、
僕がたまたま見た女性のなかでいちばんキレイだなと思ったのは、
NTVの木村優子さんである。

木村優子さんは、
学生時代からキレイな女性だなと思っていたのだが、
実物はもっともっとキレイであった。

僕が木村優子さんに会ったのは、まだ駆け出しのころ。
当時、僕は会社が少人数ということもあって、
コピーライターとしての業務と並行して
CMの素材をテレビ局に届けるといった仕事も担っていた。

この日もそうで、僕がNTVに向かって麹町の坂をホテホテと歩いていたところ、
前方から木村優子さんと先輩アナの井田由美さんが歩いてきた。
このとき木村優子さんは薄いブルーのスーツを着ていた。
季節は初夏だったと思う。
陽光に薄いブルーのスーツが映えていたことを鮮明に憶えている。

せっかく憧れの女性に会えたというのに、
僕はただすれ違っただけで声ひとつかけられなかった
。しかし、僕はそれでも十分満足だった。
広告業界に入って、心からよかったと思った。

NTVの広告局で用事を済ませNTVを出たあと、
僕はさっき木村優子さんとすれ違った道を
今度は麹町駅に向かって歩いていた。
わずか
20分程度前のことだというのに、
ここで木村優子さんとすれ違ったことが、
なんだか信じられないような気分だった。


そんな僕に奇跡はふたたび訪れた。

木村優子さんが反対の歩道の向こう側から歩いてきたのである。
しかも今度は一人ではないか
!!
僕は急いで信号をわたって、木村優子さんと同じ歩道に出た。
そして、木村優子さんの背後を歩いた。
この直後、
NTV前の信号が赤になり、
木村優子さんは信号待ちのため立ち止まった。
僕も立ち止まった。

木村優子さんのすぐ隣、距離にして
2メートルもない。
僕は声をかけて握手してもらおうかどうしようかとか、
頭のなかでいろいろなことを考えた。
あんなに信号待ちの時間が長かったことは後にも先にもない。

そんな僕の感覚とは裏腹に、
信号はあっという間に変わり、
木村優子さんは再び
NTVに向かって歩き出した。
僕も用事が済んだばかりの
NTVに向かって歩き出した。
そして木村優子さんが
NTV内に入るのを見届けた。

結局、僕は木村優子さんに声をかけることができなかった。
しかし、僕はそれでよかったと思う。
木村優子さんと話がしたければ、
木村優子さんに取材を受けるような人間になればいいのだ。
残念ながら、その機会はいまだに訪れてはいないが、
「いつかは必ず」という気概だけはこの
20年間以上持ち続けている。

似たようなハナシが去年もあった。
去年の
8月末、僕が勤務する会社の設立5周年を記念してのパーティが
お台場のホテルであった。
パーティといっても、そんな大規模なものではない。

そのパーティ終了後、僕は帰ったのだが
2次会の会場となったお店に滝川クリステルがいたらしい。

そのニュースを聞いて残念がっていたのが、
10日の日記でとり上げた後輩のスズキくんである。
スズキくんも僕と一緒にパーティ終了後、帰ったのである。

大好きな滝川クリステルに会いそびれてしょげ返るスズキくんに僕は
「滝川クリステルが取材に来るような人間になればいいじゃないか。
それか滝川クリステルと一緒に仕事をできるような企画を立てて、
プレゼンすればいいのさ。
ド素人みたいに、レストランで声をかけて握手してもらったところで、
そんなのは何の意味もない」といった。

滝川クリステルに会いたい・・・
それだって、立派な仕事のモチベーションになるはずだ。
要はそれに対して本気で取り組むのか、
願望レベルで終わらせるのかの違いである。

僕が以前、偶然見かけたミュージシャンで憶えているのが、
松尾清憲である。
松尾清憲は
1980年、
ムーンライダーズの鈴木慶一プロデュースによりバンド
CENEMA」の一員としてデビュー。
このバンドには後に鈴木慶一夫人となる鈴木さえ子もいた。

1984年にはソロシングル『愛しのロージー』をリリース。
この曲はスズキセルボの
CMソングに採用され、
1996年にはSOONという2人組のユニットがカバーしている。
僕個人にとっても懐かしいポップソングの
1曲だ。

松尾清憲を偶然見かける前に、
僕は松尾清憲のライブに一度だけ行ったことがある。
そのライブで久々に観た松尾清憲は長髪のワンレンにしていて、
『愛しのロージー』のころとはだいぶ違っていた。
もし、このライブに行っていなかったら、
僕は偶然会った松尾清憲には気づかずにいたであろう。

まだ新宿3丁目の丸井の地下にヴァージンメガストアがあったころ、
僕はその前で松尾清憲を見かけたのだ。
声はかけなかった。
握手もしなかった。
それでいい。

いつの日か、もし仕事で松尾清憲と会うことがあったら、
この日のことを話題にするとしよう。


2007.05