ローラ・ブラニガン「グロリア」


つい一昨日、1980年代に活躍した女性ヴォーカリストの
ローラ・ブラニガンが亡くなっていたことを知った。
2004826日、脳動脈瘤のため47歳の若さで亡くなったという。

黄金の80年代を振り返るとき、
ローラ・ブラニガンは確実にひとつの足跡を残していると思う。

5オクターヴも出るといわれたパワフルなヴォーカルは、
後に続くセリーヌ・ディオンやマライヤ・キャリーの先がけ的存在だった。

僕がローラ・ブラニガンを知ったのは1982年、
ラジオから流れてきた『グロリア』を聴いてである。
デビューアルバム“ブラニガン”
(邦題はズバリ『グロリア』)
からシングルカットされたこの曲は、全米2位を記録する大ヒットとなり、
ローラ・ブラニガンは新人としてはこれ以上ないというぐらい上々のスタートを切った。


その後も
83年の『ソリテア』、
84年の『セルフ・コントロール』と順調にヒットを重ねた。

特に『グロリア』と『ソリテア』は躍動感あふれる曲で、
高校時代はよく学校への出がけに聴いた記憶がある。

基本的に僕の音楽知識は80年代止まりである。
80年代末から90年代初頭にかけて登場したニルヴァーナやオアシスは、
知ってはいるもののほとんど聴き込んでいない。
レニー・クラヴィッツも新宿の丸井の地下にあった
ヴァージン・メガストアで見かけたことがあったが、
別に心を躍らすこともなかった。

こんな僕だから、
21世紀に入ってからのニューアーティストには本当にうとい。
これではイカンと思いながら、
今年に入ってからもついつい“遠藤賢司実況録音大全 第一巻”なる
CD9枚+DVD1枚のボックスセットを買ってしまった。
これが実に聴きごたえのある超ド級の大作で、
なかなか他のアーティストの
CDを聴く機会を見つけられずにいる。

21世紀の今日、
1969年にデビューしたアーティストのCD
いちばん聴き込んでいるというのもスゴイ話であるが、
いいものはいつ聴いてもいいのだ。

ローラ・ブラニガンの『グロリア』を、
いまの
17歳が聴いたらいったいどんな感想をいうだろうか?
もし「これいい曲っすね」なんて少年がいたら、
ふたまわり違いの歳の差なんてひとっ飛び!
すぐに友だちになれそうな気がする。

音楽にしても映画にしても小説にしても、
世代を超えて分かち合えるところがいい。
いいものに賞味期限はないのである。

では、僕が職業としている広告はどうか?
これもなかなか温故知新の世界である。
僕の師匠であり大恩人である西尾忠久先生が
今年になって立ち上げた“創造と環境”
において
あらためて60
年代の広告を学ばせていただいているのだが、
これが実に勉強になっている。

先日も、今年になって入ってきたばかりの
ひと回り下のデザイナーと“創造と環境”のなかでも触れられている
フォルクスワーゲンの広告について話していたら
「ホントにすごい広告っすよねぇ〜」と目を輝かせていた。

こんな風に世代を超えて語り合える共通言語をたくさん持っているというのは、
すごく幸せなことだと思う。

僕は、人生を楽しみ尽くせる「人生の達人」になりたいと考えている。
そのためにも、もっともっといろんなことを教わりたいし、
もっともっと自分が知っていることを伝えていきたいなと思う。

目指すは生涯現役の好奇心一代男である。


2007.04