海援隊「あんたが大将」


昨日、新撰組と歳さんについて書いたので、今日は海援隊のハナシ。
といっても、坂本竜馬ではない。
武田鉄矢のほうだ。

最近、ミョーにハマっている唄が、
海援隊の『あんたが大将』である。
以前、たまたまY
ouTubeで過去に海援隊が
夜のヒットスタジオに出演した際の映像を見つけ、
ゲラゲラ笑いながら武田鉄矢の唄を聴いていたのだが
数日後、この歌詞が突如としてフラッシュバックしてきて、
頭から離れなくなってしまったのだ。

この歌が発売されたのは、僕がまだ小学生のころ。
武田鉄矢が金八先生を演じる、はるか以前のことである。


酒の席で偉そうに自慢話を垂れる人を「あんたが大将」と揶揄した詞の内容は
子ども心に憶えていたものだが、
いま聴くとより詞の内容に共感ができ、ついつい何度も
映像を観てしまう。

基本的に僕は、自慢話はダサいと考えている。
そんなことは、いいたくてもグッとこらえるのが粋と思うのだ。
だから僕は他人の自慢話もあまり好きではない。
しかし、困ったことに世の中には自慢話をしたがる人が多い。

僕が以前知っていた某社長もそんな1人であった。
しかもただの自慢話ではなく、
虚実入り交じっての自慢話だから聞いているほうは混乱してしまう。
この前、聞いた話と今日聞いた話が
微妙に違っていることなど珍しいことではなかった。

この社長の話のなかで、いまも本当かなと思うのが、
アメリカにある
DDB(ドイル・デーン・バーンバック)社の
プレゼンを聞いたことがあるという話である。
1960年代の半ば、アメリカに行った際、
DDBのプレゼンに立ち会ったというのだ

なんでもボウリング場だかレンタカーだかの仕事の視察でアメリカに行った際に、
そのチャンスを得たというのだが、なんとも信じがたい話であった。
そして、ボウリング場とレンタカーのノウハウを
日本に持ち込んだのは自分だと豪語していた。

この社長がおっしゃっていたことは、
ひょっとしたら全部事実なのかも知れない。
しかし、少なくとも僕のなかでは真実ではない。

「歴史を語る上で大切なのは事実ではなく、伝承されるべき真実だ」
というようなことを語ったのは寺山修司だが、
事実と真実・・・ここにコミュニケーションのむずかしさがあると思う。
いくら事実を伝えようが、
伝える相手に真実味を感じてもらえなければ、
それは事実として正しく伝わらない。

広告屋はアーティストではない。
コミュニケーションのプロフェッショナルだと僕は考える。
自分自身がいいコミュニケーションをとれないのに、
仕事でそれができるワケがない。

「あんたが大将」と揶揄されないよう自分の言動を律し、
事実を語り、真実を伝えていきたいと思う。


2007.06