ジェフ・リン「エヴリー・リトル・シング」


トレヴァー・ホーン率いるバグルスが話題となっていたころ、
もう一方で僕が注目していたエレクトリック・ポップバンドが
ジェフ・リン率いる
ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)である。

ELO1971年のデビュー以来、
ストリングスをフィーチャーした独自のサウンドで人気を博し
「最も全米トップ
40ヒットが多いアーティスト」として
ギネスブックにも載ったことがある。

またリーダーのジェフ・リンは、大のビートルズフリークであることから
ELOは「ビートルズよりもビートルズらしい曲を持ったバンド」とも評された。

僕がELOの曲でいちばん印象に残っているのは、
1980年にオリビア・ニュートン=ジョンとコラボレートした『ザナドゥ』である。
この曲は同名の映画の主題歌で、全米最高
8位を記録した。
曲は大ヒットしたものの映画はダメダメで、
監督のロバート・グリーンウォルドは
見事この作品でゴールデンラズベリー賞を受賞した。

 1980年代に入ると、ジェフ・リンはプロデュース業にも進出。
かのジョージ・ハリソンの名盤“クラウドナイン”をはじめ、
デイヴ・エドモンズ、リンゴ・スター、トム・ペティ、ロイ・オービソン、
デル・シャノンといったロックンロール・グレイトたちのプロデュースを手がけた。

さらには1995年から96年にかけて発表された
ビートルズのアンソロジー・プロジェクトでも
プロデュースを担当し、話題を集めた。

まさに稀代のポップス職人である。

ELOのほか、ジョージ・ハリソンやボブ・ディランらとともに
トラベリング・ウィルベリーズとしての活動も行っていたジェフ・リンは
1枚だけソロ名義でアルバムを発表している。
1990年にリリースされた“アームチェア・シアター”である。

このアルバムに収録されている『エヴリー・リトル・シング』という曲が、
これまた極上のポップソングなのである。
この曲を知ったのは、実は発表されたずっと後も後、
いまから
23年前のことである。

ジョージ・ハリソンのさまざまな映像が収録された
コレクター用の
DVDを購入したところ、
そのなかにプロモが収められていたのだ。
僕はすっかりこの曲が気に入ってしまい、
何度もこの曲をリピートして観た。
いまもたまに観る。

このプロモには盟友トム・ペティとともに、
一瞬、息子のダニーかと見間違ってしまう黄色い
Tシャツ姿のジョージが
ちょろりと出演しているというサプライズがあり、
ジョージファンにとってはたまらないプロモとなっている。

ダニーももう30歳ぐらいになるはずだ。
横顔がジョージにそっくりなダニーは、
ミュージシャンとして本格的なデビューはしていないものの、
2002年に行われた“コンサート・フォー・ジョージ”で
ギタープレイを披露するなどしている。

ミュージシャン、ダニー・ハリソンの作品を聴いてみたい。
ジェフ・リンのプロデュースでやってくれないだろうか?


2007.04