ジャニス・ジョプリン「サマータイム」


つい先ほど外出先から
Gパンのなかまでびしょびしょになって帰って来た。
数日前よりだいぶ暑さはやわらいだなと体感するものの、
それでもまだ暑い。
ホテホテと歩きながらふと気づいたのだが、
6時半ですでに暗くなっていた。
つい先日まで、
6時半なんかまだまだ明るかったのでビックリした次第である。

基本的に僕は、
マリンスポーツとも高原リゾートとも縁遠い人間なので、
夏に対する特別な思い入れはない。
夏が来たといって大喜びする類いの人間ではないのだが、
それでも夏が終わるというのは、
どことなく寂しさを覚える。

僕にとって2007年の夏というのは、
これまでの夏とはだいぶ違った。
サラリーマンを辞めたからである。
これは僕にとって大きな変化であった。
独立するにあたってのさまざまな事務手続きは、
もちろん生まれてはじめてのことだった。
ある程度、想像はしていたものの、
その手続きは想像以上に煩雑で、
あらためて社会の成り立ちというものを思い知った。

よくも悪くもサラリーマンというのは、
保護されているなと痛感させられた。

お陰さまで仕事のほうはある程度の案件を頂戴しているのだが、
自分で打ち合わせに行き、自分で仕事の段取りをし、
自分でも作業をしなければならないので、かなり大変である。

サラリーマン時代のように
「じゃあ、これはやっといて」というワケにはいかないのだ。

大変なことは大変であるが、その分気はラクである。
頑張るも頑張らないも自分次第。
何事も他人のせいにはできないという崖っぷち感が心地いいのである。

サラリーマンというある意味、守られた立場を捨てて、
まさに「ワイルドサイド」を僕は
2007年の夏に歩き出した。
この先に何が待っているかは知らない。
でも、会社の愚痴をこぼしながら勤め続ける人間よりは、
もっともっと人生を楽しんでやろうと思っている。

いままで以上に人生を謳歌するのだ。

昨日の夜、眠ろうとしたら急に死に対する恐怖が襲ってきた。
死ぬのが怖くて怖くて仕方なくなったのだ。
きっとそれは、
まだまだやりたいことがたくさんある証拠だと僕は考えた。

モナコでバックギャモンに興じたいというものから、
多摩川のほとりでホヘーッとしていたいというものまで、
僕には「人生の楽しみリスト」がたくさんある。
それを
1つひとつ、これから実現していくのだ。
年老いている場合でもなければ、死んでしまう場合でもない。

1968年、後に彼女の代表曲となる『サマータイム』で、
魂の叫びともいえる歌声を披露したジャニス・ジョプリンは
197010月、27歳の若さで亡くなり伝説となった。

よく知られていることだが、
ジャニス・ジョプリンはパブリック・イメージと異なり、
シャイで繊細な家族思いの女性だったという。
死の数か月前、ジャニスが出演したテレビ番組において、
彼女は今後の予定として
高校の同窓会に出席することを語っていたという。

シンガー、ジャニス・ジョプリンではなく
27歳の女性、ジャニス・リン・ジョプリンは
これからの人生に何を抱いていたのか
?

去り行く夏の気配を感じながら、ふとジャニスのことを考えた。

2007.08