ジャクソン・ブラウン&クラレンス・クレモンズ「フレンド・オブ・マイン」

今日は成人の日。
東京は今日も穏やかに晴れているが、
全国各地では荒れた成人式が今年もまた行われているのだろうか
?

バカ騒ぎしたり、暴れたりするのは勝手だが、
ひとついいたいのは、それが
40歳・50歳になって
誇れる想い出となるか否かである。
僕が思うに、あんまりカッコいいことではないような気がする。

ちなみに僕は成人式には参加しなかった。
で、なにをしていたかというと、働いていた。
19歳で学校を中退して広告業界に飛び込んだ、というかもぐり込んだ僕は、
仕事が楽しくて楽しくて仕方がなかった。
毎朝出社するのも全然苦じゃないし、
残業や休日出勤ももちろん喜んでやっていた。

当時、僕が勤務していた会社は、
社員が
56名ぐらいのところで、
有名な某カメラ量販店の広告をほぼ一手に制作していた。
そこで、僕は若干
19歳にしてテレビCMやラジオCMはもちろん、
さまざまな広告物の制作を担当することができた。
広告業界広しといえど、
19歳でこれだけの経験を積めた人間は、そう多くないと思う。

そして、このときの経験は僕の大きな財産となり、
いまでもなんとか広告業界で生き残っていられている。

あれから21年。
僕は今日、自宅で仕事をしている。
しかし、
21年前に感じていたような高揚感はない。
仕事をしているのではなく、
させられているような気分になってしまうのだ。
これではいけない。

僕は仕事柄、さまざまな職業の人と会うのだが、
たまにこう思うことがある。
「この人は、本当にこの仕事に就きたくて就職したのだろうか
?」と。
就職するにあたって、現実との折り合いをつけ、
夢は夢として封印したのではないかと思うときがあるのだ。
僕のまわりにも広告代理店を目指していたのだが採用にはいたらず、
違う業界に就職したという人が何人もいる。
その人たちに比べたら、僕なんかは恵まれすぎている。

高校2年生のときに目指した職業に就け、
学歴も経験もないなか、
19歳で広告制作の第一線に携われ、
以来
20年以上にわたり、同じ業界で仕事ができているのだ。

己の幸運さを忘れ、仕事に対する情熱を失っている場合ではない。

もちろん人間である以上、モチベーションが下がるときはある。
そんなときにはどうするか
?
素敵なロックンロール音楽を聴くことが、
僕にとっては何よりもの精神安定剤である。

僕が成人式を迎えた前後にはやった曲ってなんだろうと、考えてみた。
パッと思い浮かんだのは
The BOSS”ブルース・スプリングスティーン率いる
Eストリート・バンドのダイナマイト・サキソフォンプレーヤー、
クラレンス・クレモンスがジャクソン・ブラウンと共演した
『フレンド・オブ・マイン』である。

この曲の
PVには、当時ジャクソン・ブラウンとつき合っていた、
映画スプラッシュの主演女優、ダリル・ハンナが出ていて、
クラレンスとジャクソン・ブラウンが演奏しているところを
ビデオで撮影しているシーンが随所におり交ぜられていた。

洗いざらしの白い
Tシャツとジーンズ姿で、
楽しそうにビデオカメラを手にしているダリル・ハンナは
実に可憐でかわいらしかった。

後のキル・ビルのアイパッチ姿などは想像もできない麗しさだった。

彼女もプロの女優である以上、さまざまな役柄をこなさなければならない。

僕もプロである以上、そうである。
明日からは、本格的に
2007年の仕事がスタートする。
なによりも自分自身に恥ずかしくない仕事をしよう。

2007年の成人の日…僕は、こんなことを考えた次第である。


2007.01