石橋正次「夜明けの停車場」

今朝、テレビを見ていたら、
ナント小柳ルミ子が再婚するというニュースをやっていた。
お相手は
27歳年下の俳優で石橋正高という人とのこと。
驚いたことに、この人はあの石橋正次の次男らしい。

あの石橋正次といっても
ナウなヤングにはピンとこないかも知れないが、
僕が子どもの頃は、それはそれは大スターであった。

“おれは男だ
!”“飛び出せ!青春”“おこれ!男だ”といった青春ドラマや
“夜明けの刑事”“あがり一丁
!”をはじめ数多くのドラマに出演していたのに加え、
歌手としても『夜明けの停車場』で
1972年の紅白歌合戦にも出演している。

“おこれ!男だ”というドラマは
望洋塾という三浦半島にある私塾を舞台にした青春モノで、
石橋正次のほかに森田健作、江藤潤、森川正太、岡田真澄、岸辺シローなどが出ていた。


ちなみにこのドラマの脚本は、
後に金妻ブームをつくり出した鎌田敏夫である。

この“おこれ!男だ”において笑ってしまうのが、
石橋正次の役名である。
その名もスバリ、土方俊夫!!!!!

どう考えても歳さんこと
新撰組副長・土方歳三と無関係であるとは思えない。
子どもの頃は気づかなかったのだが、
いま振り返ってみると
そのあまりにもベタな役名に思わず笑ってしまう。

このドラマで石橋正次こと土方俊夫は、
剣道ではなく柔道選手だった。
新撰組を好きな人であれば、
土方を名乗るぐらいなら剣道を、
そして柔道をさせるならせめて役名を
新撰組の柔術師範だった篠原泰之進をもじって
篠原泰三ぐらいにして欲しいと思ってしまうのではないだろうか
?

新撰組といえば今日は、
新撰組の五番隊組長であった武田観柳斎の新暦の命日である。
甲州流軍学を修めた武田観柳斎は新撰組において軍師格であったが、
その後、新撰組が幕府に倣い洋式調練を取り入れたため
武田観柳斎の軍学は次第に時代遅れとなった。
さらに巧みな弁舌で幹部連中に媚びへつらう態度に
嫌悪感を示す隊士も少なくなかったという。

新撰組内での立場を失った武田観柳斎は
倒幕派である薩摩藩に近づくなどしたものの、
その行動が歳さんらに看破され、
前出の篠原泰之進と三番隊組長の斎藤一によって
鴨川銭取橋であっけなく暗殺される。

武田観柳斎の人物像や暗殺の経緯などについては諸説あるが、
この定説どおりの解釈をすると、
大風呂敷を広げたり、誰かに媚びへつらったりしたところで、
メッキはいずれはげるのである。
自分自身をしっかりもって、
できることは一生懸命するが、
できないことはできませんとハッキリいう。
そんな等身大の態度がやはり大切だなとあらためて思わされる。

これから自分のこの身ひとつで仕事をしていく上で、
時にはハッタリをかまさなくてはならないかも知れない。
問題はそのときだ。
自分がかましたハッタリは、ちゃんと自分で責任を取る。
ハッタリに自分自身が追いつけるよう陰で努力をしなければ、
たちまちアイツは口だけのレッテルを貼られるばかりか、
多くの人に迷惑をかけることになる。

有言実行。
言葉にするとたった四文字ではあるが、
この言葉の意味するところは実に奥深い。
それは日々の積み重ねにほかならないからだ。

余計なことだけど、
石橋正高は小柳ルミ子になんと云ってプロポーズしたのだろう
?
これからそれを日々実践し、実証していかなければならないのだ。

本当に余計なことだけど、それは不断の努力を要すると思う。
なんてったって奥さんは、自分の両親と同年代の女性なのだ。
自分の年齢の倍の女性なのだ。
それを百も承知の上で、結婚を決意した石橋正高に対し、
僕は心からエールを送りたい。

石橋正高の「誠」に期待しようではないか。
ホントにホントに余計なことだけど。

2007.07