HONZI「瞳孔のお話-Story Of Pupils-


昨日、久々に早川義夫さんのホームページを見たら、
HONZIの訃報が書かれていた。
927日午前3時に亡くなられたという。

HONZIはバイオリニスト、アコーディオン奏者で
早川さんのライブで何度もそのパフォーマンスを観た。
色っぽさと子供っぽさが同居した、
なんともいえないオーラ漂う素敵な女性であった。

早川さんもHONZIのことをすごく気に入っているようで、
その思いが高じてか『
I LOVE HONZI』という曲までつくっている。

HONZIが体調を崩しているという話は聞いていた。
しかし、ガンだとは知らなかった。
HONZI9月、早川さんの沖縄でのライブに参加する予定だったという。
しかし、それは病気のためにかなわなかった。
早川さんが
HONZIの訃報を聞いたのは927日の午後、
本来であれば
HONZIと一緒に降り立つはずであった那覇空港に、
まさに到着した直後だったという。

HONZIUAをはじめ、
さまざまなアーティストの作品に参加している。
なので、
HONZIの名前を知っている人も多いと思う。
しかし、この巨大化した音楽マーケットになかにあって
HONZIの存在は、
決してメジャーと呼べるものではなかった。

でも僕はこう思う。
HONZIの音楽は本物であった。
メガセールスを記録しているような
コマーシャリズムにあふれた音楽とは一線を画す、息づかいがあった。

早川さんはご自身のホームページのなかで、
HONZIの音楽についてこのように書かれている。

HONZIの音は、テクニックを披露するような音楽とは違う。
やさしい音なのに初めて聴く音だった。
意外な音なのに奇をてらうわけではない。
かすかな音もよく聴こえ、激しい音もうるさくない。
常に歌を生かし、自分を主張するというより、
降りてくる音を受け止め、奏でているだけのようだった。
悲しみと優しさに包まれている、たましいそのものだった。
HONZIの音ってシンプルでいいね』と言うと、
『シンプルが一番むずかしいもの』と言った。」
(早川義夫公式サイトより転載)

ここしばらく早川さんのライブに行けてない。
いつも気になってはいたのだが、なかなかうまく都合がつかなかった。
もう
HONZIの演奏を聴けないと思ったら、
僕は失ったものの大きさをあらためて実感した。
不意に涙がこぼれてきそうになった。

ひょっとしたらYouTube
HONZIのパフォーマンスの映像がアップされていないだろうかと思い、
僕は潤んだ視界のなかで検索してみた。
あった。
HONZI20009月にリリースした、
自身のセカンドアルバム“TWO
に収められている
『瞳孔のお話
-Story Of Pupils-』をはじめ数曲がアップされていた。

そのパフォーマンスを観ながら、
僕は「シンプルが一番むずかしいもの」という
HONZIの言葉を何度も何度も噛みしめていた。

ありがとうHONZI
さよなら
HONZI


2007.10