浜田省吾「風を感じて」

昨年末、カップヌードルの誕生35周年を記念して、
過去の
CMソングを集めたコンピレ盤が発売された。
ロブバードの『ボーンフリー・スピリット』、
大沢誉志幸の『そして僕は途方に暮れる』、
中村あゆみの『翼の折れたエンジェル』、
ハウンド・ドッグの『
ff(フォルティシモ)』、
鈴木雅之の『ガラス越しに消えた夏』など、
思わず「おーっ
!!」と叫んでしまいたくなる懐かしい名曲の数々が収録されている。

しかし、僕はこの
CDを買わなかった。
何故か
!? 
浜田省吾の『風を感じて』が収録されていなかったからである。

 It’s so easy 走り出せよ

 Easy to be happy 風の青さを

 抱きしめて荒野へとまっすぐに Oh Yeah

It’s so easy うつろな夢

 Easy to be happy ふり切って

 時の流れ飛び越えてゆけ

 自由に生きてく方法なんて百通りだってあるさ

 It’s so easy

 Easy to be free (作詞・浜田省吾/三浦徳子)

歌詞を読んでもわかるとおり、
実にボヘミアンチックな歌である。
フリーダムにあふれている。
僕は浜田省吾の歌のなかで、この曲がダントツに好きだ。


有名な話ではあるが、
カップヌードルが広く世間に知られるようになったのは、
1972年に起きた“あさま山荘事件”がキッカケである。
機動隊員がカップヌードルを食べている場面が全国に流されたことで、
人々の興味をひいたという。

あさま山荘事件が起きた当日、僕は6歳の誕生日であった。
それから
28日の人質救出までの10日間は、
ずっとこのニュースをやっていたことを幼い記憶のなかでおぼえている。

が、この事件解決の翌日の
229日が、
原田芳雄さんの誕生日であることは、
当時まだ知らなかった。
当たり前である。

僕の知り合いの劇団が、
あさま山荘事件を題材にした芝居公演を行ったことがある。
警視庁機動隊と長野県警の対立をユーモラスに織り交ぜながら、
事件解決までの過程を時系軸にそって描いた作品であった。

この芝居のなかでも、カップヌードルはとり上げられていた。
そして、トレーニング用の大きなメディシンボールを使い、
あの有名な鉄球での破壊シーンを舞台で再現していた。

この芝居を観たのはいつだったっけと調べてみたら、
初演は
1997年であった。
あれからもう
10年・・・今日もまた、月日の流れの早さを実感した次第である。

13歳で浜田省吾の『風を感じて』に触れた小僧は、
その後「自由に生きてく方法なんて百通りだってあるさ」的な生き方を身につけ、
今日に至っている。

そして、あさま山荘事件発生から
35年目を迎える219日、
僕はめでたく
41歳を迎える。

人生は短く、嫌なことやたいへんなこともいっぱいある。
でも“
It’s so easy,easy to be happy”という、
その心意気さえあれば人生もそんなに悪いものではない。
もし壁にぶち当たり、人生に悩んだら
「自由に生きてく方法なんて百通りだってあるさ♪」って口ずさんでみると、
けっこういいかもよ。


2007.01