銀杏BOYZ「光」


昨日、渋谷のビールズ専門店「ゲットバック」にて、
ジョージ・ハリソンの人形を買ってきた。
“アニメ・ザ・ビートルズ”というアメリカのアニメのものである。

キャラクターをデザインしたのは、漫画家のピーター・サンダース。
“アニメ・ザ・ビートルズ”は、
ビートルズの面々が世界中を旅して
ドタバタ劇に巻き込まれるというギャグタッチのアニメで、
日本でも放映されていた。
日本語版ではジョンの声を伊武雅刀さん、ポールを小幡研二さん、
リンゴを曽我部和恭さん、そしてジョージを田中秀幸さんが担当した。

この“アニメ・ザ・ビートルズ”はソフト化がされておらず、
ビートルマニアのなかではもう一度観たいけど観られない
幻の作品として半ば伝説となっていた。

そのカルト的な伝説の名作を僕は見つけたのだ、新宿の西口で。
あれはたしか一昨年のいまごろだったと思うが、
新宿西口にある輸入レコード屋さんで、
なんかいいものはないかなと物色していたところ
“アニメ・ザ・ビートルズ”の
DVD3枚セットがなぜか売られていたのだ。
この輸入レコード屋さんは主に海賊版を扱っているお店なので、
誰かがビデオに録画していたものを
DVDに落とし3枚セットで売り出したのだろう。

熱狂的なファン真理の前には、著作権法違反もへったくれもない。
さっそく購入してきた。

残念ながらところどころ映像は乱れ、さらに日本語版でもなかったが、
それでも十分に楽しめるものだった。

我が家には“アニメ・ザ・ビートルズ”モノとして、
以前からソルト
&ペッパーやフォトフレームなどがあったのだが、
昨日メデタクそのコレクションにジョージ人形が加わった。
さっそく机の前に飾って悦に入っている。


11
月といえば、ジョージの命日月である。
1129(日本時間では30)がジョージの命日なのだ。
ジョージが亡くなったのは
2001年。
今年は七回忌である。

ジョージが亡くなった当日のことは、いまもよく憶えている。
このことは以前にも書いたのでここで繰り返しはしないが、
もしこの駄文を読んでくれた人のなかで、
1129日なり30日にジョージを偲んでくれる人がいたら、僕はうれしい。

昨日、ナニしに渋谷へ出かけたかというとゲットバックに行くためではない。
ゲットバックのあるビルにあるクラブ・クアトロで行われた
「第一回エンケン純音楽祭り」のために出かけたのだ。

このライブにはエンケンこと遠藤賢司とカレーライス(グレート・マエカワ、竹安堅一、森信行)に加え、
ゲストとして
YO-KINGと銀杏BOYZの峯田和伸が出演した。
会場には明らかにゲスト目当てできたであろうという客の姿がたくさんあって、
いつものエンケンのライブとは客層がかなり異なっていた。

銀杏BOYZについては、正直いって名前は知ってはいるが、
ちゃんと音楽を聴いたことがなかった。
どちらかというと峯田のライブにおける奇行子のイメージが先行していたので、
あまり期待もしていなかった。
が、けっこう良かった。
1121日に発売される『光』という曲は、
まさに現代に生きる
30前後のミュージシャンによるプロテストソングだと思った。
山形弁むき出しの峯田の語り口も好感が持てた。
ロックンロール音楽を心から愛する者の1人として、
こういうサプライズな出会いはうれしい。

このライブには、飛び入りゲストありと謳われていたのだが、
エンケンのソロ→
YO-KING→峯田→エンケン&カレーライスという
豪華リレーによる素晴らしい演奏を目の当たりにして、
僕は飛び入りゲストのことなどすっかり忘れていた。

アンコールで『東京ワッショイ』からのメドレーで『男のブルース』を演奏中、
エンケンは轟音でギターをかき鳴らしドラムを叩きながら
(エンケンはギターを弾きながらドラムを叩くという離れ業をやってのけるのだ)
その男の名を叫んだ。

「エガシラー、エガシラ〜ッ!!

次の瞬間、上半身裸で黒いタイツ姿といういつものいでたちで、
江頭
2:50がステージに飛び出してきた。

エンケンは大の江頭ファンで、江頭がプロレスデビューした際、
わざわざ後楽園ホールまで見に行っているのである。
そしてつい先日、その江頭と初めて会うことができたと
昨日の
MCでうれしそうに語っていた。

ステージ上で飛び回り、客席にダイブする江頭を笑顔で見つめながら、
エンケンがなぜ江頭をこれほどまでに評価するのかを自分なりに考えてみた。
きっと体を張って芸を表現し続ける江頭の姿に、
エンケンが提唱する純音楽の姿勢を感じているからだろう、
それが僕の結論だった。

江頭の芸に対しては賛否両論があると思う。
また、銀杏
BOYZの歌詞やステージングにも賛否両論はあろう。
でも、表現者は自分の表現したいことを表現する、
そしてそれを観たい聴きたい人が観る聴く、それは個々の自由だ。

実際に観もせず聴きもせず、
なんとなくイメージだけで結論づけてしまうのは一番タチが悪い。
銀杏
BOYZに対する僕の態度を省みながら、あらためてこんな風に思った。


2007.11