フランク永井「ウーマン」


水曜日から、まともに外出していない。
この
3日間で外出したのは、近所の郵便局に行っただけだ。
距離にして往復
300メートルぐらい。
これでは、とても外出と呼べるものではない。

今日はどんよりとした天気でめちゃめちゃ寒いが、
昨日まではまさに絶好の秋晴れ♪ 
気持ちのイイ小春日和であった。

そんなイイ天気なのに外出もせずナニをしていたかというと、
企画書をつくっていたのである。
とある食品メーカーの
来春のインストアプロモーションに関する企画書をつくっていたのだ。

いまはどの企業でもそうなのかもしれないが、
このプロモーションにかけられる予算は少ない。
はっきりいって、その予算でなにをどうしろってえの
!?という少ない予算である。
予算が少ないということは当然ながら取り分も少ないワケで、
これからの手間ひまを考えたら、あまりおいしい仕事とはいえない。

が、予算が潤沢にあって何でもできるという仕事なら、
そこそこのアドマンであれば誰でもできる。
予算がないなかで最大限に効果を発揮するプロモーションを企画立案ところに、
僕が提唱する
PCE(Professional Creative Ensemble)の極意があるのだ。
まあ、極意というほど偉そうなものではないが。

僕は企画を立てるとき、まずできそうなことを“点”で考える。
そしていくつかの“点”と“点”とを結びつけ“線”をつくり“面”をつくり、
最終的には“立体”をつくる。
この“立体”が最終的なプロモーション企画となる。
この“点”を考える際、もっとも頼りになるのが仲間である。
いわゆる人脈である。
その商品特性をしっかりとポジショニングした上で、
仲間が勤めているあの会社とこの商品をくっつけて何かできないか、
ということを考えるのだ。

1人でできることなどタカが知れている。
仲間は本当にありがたい。

今回の企画においても、仲間に助けてもらっている。
この仲間は、とある小さな出版社の広告営業をしている。
もともとは大手の出版社に勤めていたのだが、
健康に特化した雑誌をどうしてもつくりたいと数名の仲間とともに独立し、月刊誌を創刊。
以来、順調に発行部数を伸ばしている。

今回手がける商品は、「美と健康にいい」という切り口で、
女性をターゲットにしたプロモーションを行いたいという要望がクライアントよりあった。
僕はクライアントの話を聞きながら、その仲間のことを思い浮かべていた。

今週の月曜日、久々にその仲間と会った。
最後に会ったのはたしか、今年の春だった。
お互いの近況を語りながら、本題を切り出した。
雑誌とタイアップしてプロモーションを行いたいというお願いだ。
かけられる予算はほんの数百万円。
そんな低予算のなかで、できることできないことをあれこれ
2人で話し合い、
ようやく“面”が見えてきた。
あとはその“面”を組み立てていくだけだ。
ここまでくると、企画書づくりも楽である。
あとは伝えたいことを素直に紙面に落とし込んでいけばいい。

しかも今回のプロモーション企画に合わせて、
2ページの特集も組んでくれるというオマケ付きだ。
僕が携わる前の過去のプロモーション企画内容からすれば、
質的にも量的にも全然違う。
これならなんとかクライアントも説得できるという手応えをいま感じている。

それもこれも仲間のおかげである。
心から感謝している。

この仲間はマラソンをやっていて、今年の東京マラソンにも出場した。
打ち合わせの際、来年も出るのかと聞いたら、なんと抽選で外れてしまったという。
「そのかわり、荒川市民マラソンに出ます」といっていた。

荒川市民マラソンは、
たしか谷川真理さんが携わっていた大会だったと記憶している。
谷川真理さんといえば
1991年の東京国際女子マラソンの優勝者だが、
いよいよ今週の日曜日に東京国際女子マラソンが開かれる。
谷川さんも一般選手として参加するという。

東京国際女子マラソンの観戦は、
見世物小屋見物と並んで僕の
11月の大切な年中行事である。
昨年は雨だったので、
自宅から近い東京ドームホテル前あたりで観戦していたのだが、
例年は天気が良ければ国立競技場に行く。
国立競技場のメインスタンドにふんぞり返りながら、
スタートとゴールを見るのだ。
スタート前のメインスタンドには、選手たちも立ち寄る。
応援にかけつけてくれた仲間に挨拶をしたりするのだ。
その模様を間近で眺めているのもなかなか楽しい。

いったんスタートしてしまえば、
ゴールまで
2時間半近くヒマである。
僕はその間、ナニをしているかというと、
国立競技場のスタンドを自由気ままに歩くのである。
メインスタンドはなかりの人がいるが、他はほとんど人がいない。
そんなガランとした国立競技場のスタンドを我が物顔で歩くのだ。
聖火台の近くへも、電光掲示板の真下へも自由に移動できる。
気持ちのいい秋晴れの下、
贅沢な気分で国立競技場をそんな風にチョロチョロと歩いていると、
アッという間に時間が過ぎてしまう。
で、適当な時間を見計らってまたメインスタンドに陣取り、
ゴールを見るのである。

先頭の選手がゴールをするのはだいたい14:30ぐらいだが、
そのあと僕は最後の選手がゴールするまで見ている。
アンタもモノ好きねえ〜といわれれば、その通り
!!と答えるしかないのだが、
なんとなく最後の選手のゴールを見届けてあげないと失礼なような気がしてしまうのだ。

全選手のゴールを見届け、
気分だけはマラソンランナーのような足どりで千駄ヶ谷の駅へと向かうと、
さっきまで走っていた選手たちがジャージ姿で歩いているのに出くわす。
皆さん、本当に普通の女性である。
なのに、
42.195キロも走ってしまうのである。
そして、そのあと談笑しながら歩いているのである。
とても僕にはできない。
深い尊敬の念を抱いてしまう。

1982年の秋、
フランク永井さんが『ウーマン』という曲を発表した。
山下達郎が「どうしてもこの曲をフランク永井さんに唄ってほしい」とお願いし、
熱心に口説き、自らレコーディングにも立ち会った渾身の
1曲である。
楽曲的にも素晴らしいもので、大好きな山下達郎作品の
1つである。

 世界中でただ一人の素敵な人 君のために

 今夜だけは時を止めて 愛してるといわせておくれ

  (作詞・山下達郎)

こんな大人なセリフをフランク永井さん独特のある低音ボイスで唄われたあかつきには、
男の僕でもメロメロである。

フランク永井さんは、1985年に自殺を図ったが一命をとりとめ、
いまもリハビリ生活を送っている。

作詞・作曲山下達郎、歌フランク永井の『ウーマン』。
美しく健康的な女性たちが東京の街を駆け抜ける東京国際女子マラソンの季節になると、
聴きたくなる
1曲である。

マラソンといえば、
僕も地元文京区の礫川マラソンに出ることを今年の年頭に誓った。
仕事でバタバタしていて情報を集めていなかったのだが、
そういやそろそろじゃないかと思って、
さっき調べてみたところ
1125()開催であった。

で、申し込み方法はと調べたら、ナント
1029日で締め切られていた。
オレとしたことが、なんということを
!! まったくもってトホホである。


2007.11