クラッシュ「ロック・ザ・カスバ」


今月8日にとり上げたセックス・ピストルズや
これまで何度もとり上げているジャムとともに、
パンクロックの歴史を語る上で絶対に外せないのがクラッシュである。

当時のバンク野郎どもに賛否両論の大論争を巻き起こした
3枚組という超大作にして意欲作であったアルバム“サンディニスタ”に続いて、
1982年に発表されたのが“コンバット・ロック”というアルバム。

このアルバムの
4曲目に収められている『ロック・ザ・カスバ』は
クラッシュ最大のヒット曲となった。

僕はこの曲のイントロが流れただけで、
脳内にドーパミンがあふれだしてしまう。
愚息も昇天だ。

なんかのドラマのクラブでのシーンで、
この『ロック・ザ・カスバ』がかけられたというハナシを聞いたことがあるが、
この曲なら文句ナシに踊れるであろう。
クラッシュのイカしたサウンドに、
ナウなヤングも大フィーバーってなもんだ♪


クラッシュはヴォーカルのジョー・ストラマー、
ギターのミック・ジョーンズ、ベースのポール・シムノン、
そしてドラムのトッパー・ヒードンの
4人編成のバンドで、
主にジョーとミックがソングライティングを担当していた。

が、『ロック・ザ・カスバ』はドラムのトッパーの作である。
ロックミュージシャンのなかには、
めちゃくちゃな人格のヤツが珍しくないが、
トッパーもかなりなもので最終的にはクラッシュをクビになっている。
そのトッパーの作品が最大のヒット曲になるとは、
なんとも皮肉なものである。

最大のヒット曲とはいったもののこの曲、
全米では初のトップテンヒットとなっているが、
イギリスのチャートでは
30位どまりであった。
イギリスのチャートでいえば
1979年に発売された
『ロンドン・コーリング』のほうが売れている。
しかし、
1991年に再発された際には15位と健闘しているので、
やはりクラッシュ最大のヒット曲という名にふさわしく、
いかにこの曲が多くの人たちから根強く支持されているかがわかる。

不況や失業などを背景とした社会への不満を
音楽で表現していたクラッシュは、
カリブ系移民のコミュニティと親交を深めていたという。
当時、このような民族的なマイノリティは
労働組合や学生運動ともに警察による弾圧の標的とされた。
クラッシュもその弾圧の場に居合わせる機会が多く、
こうした経験がクラッシュの
反体制的な音楽性へと向かわせたともいわれている。

僕は少年のころからロックンロールが大好きだったが、
ロックンロール音楽で社会が変わるとは思わない。
でも、政治家が、あるいは政治家を目指している人が、
その主張をロックンロールで表現したらどうだろうとは前々から考えていた。

演説ではなく、唄うのだ。
ほかにも、ラップやポエトリー・リーディングの手法を
選挙活動に持ち込んだらどうだろうとも考えている。

つまらない演説なんかより、
よほど人々の心に届くと思うのだが、どうだろう?


僕が住んでいる文京区でもいま、
区長選と区議会選が展開されている。
どの候補者も日曜日の朝から選挙カーを走らせ、
大音響で名前を連呼していた。
改革を訴える候補者が、
長年踏襲されてきた旧い政治的アピールのスタイルをとっているのを見ると、
いっていることがまったく信用できない。

もし、そんな既成概念をぶち破るようなパンキーな候補者がいたら、
1票を投じたいものだ。


2007.04