チェッカーズ「OH!POP STAR」


1986
年の冬だったと思うが、
NTVで“シャボン玉ホリデー”のスペシャル番組を放送したことがある。
なべおさみや小松政男、中尾ミエといったおなじみの面々に加え、
チェッカーズ、松原千明、原田知世、
そして郷ひろみとの交際で話題を集めた祇園の佳つ乃さんなどが出演していた。


この番組でいちばん面白かったのが、
修学旅行のコントである。
修学旅行といえば、やはり枕投げ。
生徒役の小松政男やチェッカーズの面々が枕投げをしていたら、
そこに闖入してきた人がいた。
ご存知、植木等さんである。

植木さんはラグビーのレフリーの格好で、
枕投げをしている面々に向かって笛を吹きながら、
ラインアウトを命じた。
ワケもわからずいわれるがままに整列する生徒たち。
枕が投げ入れられるとモール状態になり、
植木さんが今度はノックオンを命じた。
モールのいちばん下からは、
鼻血を出した小松政男が顔を出す。

そして、植木さんは
「およびでない?
およびでないね。
こりゃまた失礼いたしました」と得意のギャグをかましたのだ。

そのおもしろさたるや、
当時のヘタなバラエティ番組の比ではなかった。
まさに伝説の名人芸を見たような気がした。

チェッカーズは1984年、
デビュー第
2弾シングル『涙のリクエスト』で
一躍スターダムにのし上がった。
以来ヒット曲を連発し、
1986年“シャボン玉ホリデー”が放送されたときも、
もちろん絶頂期にあった。

この時期にリリースした曲が『
OH!!POPSTAR』で、
番組のなかでも演奏していた。

この曲、僕の先輩は
GSみたいでキライだといっていたが、
僕はけっこう好きだった。
チェッカーズに関しては熱心なリスナーではなかったが、
1985年に発表した『あの娘とスキャンダル』、
1986年発表の『OH!!POP STAR』、
1987年発表の『I Love you, SAYONARA』、
そして
1988年に発表した『素直にI'm Sorry』は、
いい曲だなといまでも思う。

チェッカーズは1992年に解散。
その後はそれぞれのフィールドで活動していたが、
2003年にメンバーの1人が書いた本をきっかけに
当時の確執が表面化し、ワイドショーなどをにぎわした。

幼少期からの友だち、
そして志をもって久留米から上京した仲間同士であったのに、
メンバー間にはいつしか亀裂が生じてしまったのであろう。
つくづく組織・団体というのは難しいなと思わされる。

クレイジー・キャッツは途中、
メンバーが個々で活動していた時期が長かったものの、
ハナ肇さんが亡くなるまで解散することはなかった。
1人ひとりがキャラ立ちした個性的なメンバーをまとめる苦労は、
並大抵ではなかったろうと容易に推測できる。

最近、あらためてリーダーにとって必要な資質はなにか、
ということをよく考える。

僕が思うにリーダーにとっていちばん大切なのは、
陽気であること。
次に自分自身を律すること、
そして二枚舌を使わないことである。

人を率いるということは、
大きな視点でとらえれば、その人たちの人生を引き受けることである。
自分自身を律することもできない人間が、
他人の人生にコミットしてはいけない。
二枚舌を使えば、まわりに絶対混乱が生じる。


自分に厳しく、他人にも厳しい。
でも陽気。

そんな人間は、やっぱりいいなと思う。


2007.04