キャロル・キング「ユーヴ・ガッタ・フレンド」
昨日の夜、仕事が一段落してホッとしていたら、
1通のメールが届いた。
仕事の依頼だった。
B3両面サイズに入れるコピーを、
明日の午前中までに欲しいという。
頼まれたら受けるしかない。
いまは贅沢をいっている場合ではないのだ。
僕はそんな無茶苦茶なスケジュール仕事を快諾した。
送られてきた資料を見たところ、
朝からやればなんとか片づきそうだったので、
昨日は資料を読み込むだけにして、今日に賭けた。
そういうことで今朝は7時から働いている。
ほかにも今日は、4件の仕事が同時に進行している。
いつもより増して忙しい日である。
とりあえずいまはやるべきことをすべて終え、
デザインの上がりを待っている。
その間に、この文章を書いているという次第だ。
本来であれば、少しはのんびり頭を休めればいいのだが、
根が貧乏性なのであろう。
ちょっとでも時間が空くと、ついつい別のなにかを始めてしまう。
そんな僕を見て、以前勤めていた会社で一緒に仕事をしていたデザイナーの1人が
「タカハシさんは生き急いでいるように見える」といった。
別に本人にそんな自覚はないのだが、
ハタから見ればそう見えるのだろうか?
そういや友だちの1人は「あなたを見ていると痛々しい」といっていた。
友人というのはありがたい。
自分ではまったく気づいていない一面をズバリと指摘してくれる。
秋になると聴きたくなる曲というのは誰もがあると思うが、
キャロル・キングの『ユーヴ・ガッタ・フレンド』は僕のなかでその代表格である。
この曲を含むキャロル・キングのセカンドアルバム
“つづれおり”が発表されたのは1971年。
このアルバムは全米アルバムチャートで15週連続1位を獲得し、
グラミー賞でも4部門を制覇した。
その後も302週にわたりトップ100にとどまるロングセラーとなり、
世界中で2000万枚以上のセールスを誇る、
まさに音楽史上に残る歴史的名盤である。
ふと聴きたくなって、いまYouTubeでキャロル・キングを検索してみたら、
素晴らしい映像を発見した。
『ユーヴ・ガッタ・フレンド』をBGMに
友だち同士で撮ったさまざまな写真を次々と映し出していくというものなのだが、
僕は見ているうちに涙が出そうになった。
映し出される写真の1枚1枚から“友情”がビンビンと伝わってきたのだ。
飾らない表情の1つ1つから、その空気感が伝わってくるのだ。
その映像が『ユーヴ・ガッタ・フレンド』の美しいメロディと
キャロル・キングのやさしい歌声に絶妙にマッチし、
つくりものではない独自の世界を創り出している。
人を感動させようという魂胆が見え見えのものは、
人の心に届かない。
そんなのは絶対に見破られる。
シンプルななかにこそ、本物がある。
あらためて僕は今日、それを実感した。