ブロンディ「マリア」
僕がいちばん最初に夢中になった洋楽の女性シンガーといえば、
ブロンディのデボラ・ハリーである。
当時中学生だった僕にとって、
そりゃあもうデボラ・ハリーはめちゃめちゃ美しい女性であった。
『ハート・オブ・グラス』の美しいメロディラインとともに、
デボラ・ハリーの歌声とその美貌は、たちまち僕をメロメロにさせた。
当時のデボラについて、尊敬するロバート・ハリス兄は
「『ハート・オブ・グラス』のプロモーションビデオの中での彼女の美しさは、もう圧巻で、
ぼくも含めて世の男たちはそんな彼女に恋していたんではないかと思う。」と、
ご自身が担当していた番組のホームページに書いていた。
それほど、当時のデボラ・ハリーは美しさは際立っていたのだ。
ブロンディはメンバーの病気のため1982年に解散したが、
1998年に再結成した。
ラジオから流れてきた第1弾シングル『マリア』を聴いて僕は、
パンキーで勢いのあるブロンディサウンドが世紀末によみがえったと、
その復活を心から喜んだ。
サウンドは当時のブロンディを彷彿させるものであったが、
デボラ・ハリーの容貌はかなり変わっていた。
それなりに年齢を重ねた女性の顔となり、体形となっていたのだ。
でも、僕はそんなデボラが美しいと思ったし、カッコいいなと思った。
ありのままがいちばんなのである。
なんとか姉妹のように人工的にいくら肌や体形をつくろっても、
そんな嘘はばれるし、人の心に響かないと思う。
再結成前のブロンディ時代、
デボラ・ハリーはセックスシンボル的な存在であった。
しかし、デボラ・ハリーはそれを迷惑に思っていたような気がする。
もともとがパンク出身なのだ。
そんなイメージは、彼女にとってありがたくもなんでもなかったのではないだろうか?
だからこそ、デボラ・ハリーはありのままの自分で生きてきたし、
過去のイメージを再生産することなく、
ありのままの自分で再結成のステージに上がってきたのだろう。
そんなデボラ・ハリーはやはりとても素敵で、カッコいい。
なにを隠そうぼくにとってデボラ・ハリーは
八千草薫さんや風吹ジュン、メリル・ストリープと同じぐらい、
いくつになっても素敵な女性であり続けてほしいと願うひとなのだ。