ベイシティ・ローラーズ「二人だけのデート」

先週の土曜日の午後、所用があって新宿に出かけた。
予想以上に用事が早く済んだので、西新宿をぶらついてみることにした。
新宿駅西口のほうから青梅街道をわたって、
「いつかは入ってみたいぜ、デヘヘ」と
10代の頃から憧れていたストリップ劇場の前を通ってみたら、
そこはもうつぶれていた。
さらにその周辺も、新しいビルがいくつか建てられていて、
僕が記憶していた景色とは一変していた。

そんな中で、僕がかつてよく行っていた中古レコード屋さんが
まだしぶとく営業していたので、入ってみることにした。
3500円のコーナーがあったので、
なにか面白いものはあるかなと物色していたところ、
発見したのがベイシティ・ローラーズの『二人だけのデート』である。

なにを隠そう、僕が生まれて初めて買った洋楽のレコードがこれなのである。

僕がまだ小学生だった頃、ベイシティ・ローラーズの人気たるや、
それはもうすごいものだった。
GS世代の人たちがよく学校の箒で
ギターアクションを真似したという話を聞いたことがあるが、
我々も放課後、箒をもってベイシティ・ローラーズごっこをしたものだ。

キット・カットというチョコレートはいまもあると思うが、
1977年に発売されたときのCMに出ていたのがベイシティ・ローラーズだった。
僕はこの
CMを見たくて、フジテレビの火曜ワイドスペシャルを毎週見ていた。

さらに当時、キット・カットのパッケージを何枚だか集めて送ると、
ベイシティ・ローラーズのトレードマークだった
タータンチェックのジャンパーが当たるというキャンペーンが行われていた。
むろん、僕も応募したことはいうまでもない。
そしてあざやかな黄色地に赤のタータンチェックが入ったジャンパーが送られてきたときは、
わが家にたった一度だけやってきたことがあるサンタクロースからのプレゼント以上に
うれしかったことを記憶している。
(ちなみに、サンタクロースが僕に用意してくれたプレゼントは、
なぜかノートとホチキスであった
!! 嗚呼何故に、サンタクロース・・・)

僕のベイシティ・ローラーズ熱は中学入学とともに冷めてしまい、
かわりに僕は大場久美子に夢中になっていた。
人に歴史ありなのである。

ロックンロール音楽の歴史において、
ベイシティ・ローラーズが語られることはあまりないと思う。
でも、僕はベイシティ・ローラーズが載っているのを見たさに、
ミュージック・ライフをはじめとする音楽雑誌を
買ったり立ち読みしたりしたのだ。
そこから僕は、さまざまな洋楽を知ることになる。
そう考えると、僕の洋楽リスナーとしての原点は、
ベイシティ・ローラーズにほかならないのだ。

ベイシティ・ローラーズの曲の中では『二人だけのデート』のほかに
『ロックンロール・ラブレター』と『サタデーナイト』が好きで、
たまに聴くことがある。
ロケンロールの骨太さは微塵も感じさせないが、良質のポップソングだとは思う。


ところで僕の誕生日は、
ベイシティ・ローラーズのドラマー“デレク”と同じだったことをいま思い出した。
デレクは来年の
2月で何歳になるのだろう?
そして、どんな人生を歩んでいるのだろう?
やはり人に歴史ありなのである。


2006.12