バルティモラ「ターザン・ボーイ」

香取慎吾が出演している
アサヒ本生ドラフトの
CMを見ていて、
「オッ」と思った。
BGMが聞き覚えのあるメロディだったからである。
カバー曲なので誰が唄っているのかはわからないが、
原曲はバルティモラの『ターザン・ボーイ』である。

バルティモラはバンドであったという説と、
ヴォーカルのジム・マクシェーンその人がバルティモラであるという説があり、
アーティスト像がはっきりしない。

そもそも『ターザン・ボーイ』は、
1984年にイタリアで発売されたという。
このときは大ヒットに至らなかったのだが、
翌年になってフランスやイギリスで大ヒット。
さらに
1986年には全米でも大ヒットし、
ビルボード
HOT100で最高13位をマークした。

全米での大ヒットに伴い、日本でも大ヒット。
ターザンの雄たけびのようなサビの部分は実にキャッチーで、
僕の心をもとらえた。

この曲をCMに使ったら、
きっとおもしろい広告がつくれるぞと考え、
いろいろと画策したのだが、
この曲を
BGMにしたCMをつくることはできなかった。

ならば当時僕が制作を担当していた
某カメラ量販店の店内放送BGMでと考え提案したところ、
OKが出た。

といっても、
バルティモラのものではなく、
よくスーパーでかかっているような
歌ナシのインストバージョンであったのだが・・・。

バルティモラは
『ターザン・ボーイ』以外のヒットを飛ばすことはなかったが、
この曲自体は息の長い曲となった。
1993年にはリステリンのCMに使用され、
再びビルボードでチャートイン。
さらに同年の映画“ニンジャ・タートルズ
3”の
サウンドトラックにリミックスバージョンが使用されるなどした。

このリミックスバージョンは日本でも
『帰ってきたターザン・ボーイ』というベタなタイトルで発売されている。

聞くところによるとジム・マクシェーンは
1995328日、生まれ故郷の北アイルランドで亡くなったという。
ジム・マクシェーンは
1957年生まれなので、
実に早すぎる死である。

彼は亡くなってしまったが、
彼が遺した『ターザン・ボーイ』は
まだまだ元気に雄たけびをおげながら生き続けている。
いまだに
CMに使われるなんて、大したものだ。

もっと大したものなのは、
20年以上前にこの曲の広告における可能性を見抜いていた
僕自身である
()


2007.02