アリス「何処へ


今日、都内では今年初の猛暑日となったらしい。
どうりで暑いはずである。
僕は、日中はなるべくエアコンをつけないようにしている。
今日も朝からそうして仕事をしていたのだが、
午後になってあまりの暑さに脳死状態に陥り、
仕事をストップさせた。

春日通りに面した東側の部屋から、
まだ若干風通しのいい西側に面した部屋へ避難し、
気分転換にレコードをかけようと思った。

ふと、神保町の中古レコード屋さんで
300円で買ってきた
アリスのアルバムが目に留まったので気まぐれに聴いてみた。


『冬の稲妻』や『涙の誓い』といったヒット曲が収められたこの
LPは、
僕が中
1の頃よく聴いていた。

「つねづねロックンローラーを自称しているワリにアリスとは
!!
というお叱りを受けそうだが、好きだったものは仕方がない。
あの当時、アリスは間違いなくスーパースターであった。

僕がアリスに興味を持つようになったのは中学に入学して早々のこと。
『涙の誓い』を唄うアリスをテレビで観たのがキッカケである。
さっそく『涙の誓い』のシングル盤を買って聴いていた。
LPも欲しかったのだが、おこづかいが足りずずっとガマンしていた。
が、夏休みに入ったある日、とうとうガマンしきれず、
当時の僕からすれば大枚をはたいて
LPを購入した。
そして夏休みの間、しょっちゅう聴いていたという次第である。

このLPに収められている『何処(いずこ)へ』という曲は、
こんな歌詞である。

 
 人は誰でも旅に出て一人で生きることを知る

 あー悲しいけれど今年も一つ

 あー悲しいけれど年とってゆく

  (作詞・谷村新司)

この曲をはじめて聴いた中1の頃、
もちろんこんな心境は想像もつかなかった。
この
LPが発売された当時、
谷村新司はたしか
30歳前後だったと思う。
当時僕は、なるほど
30歳ぐらいになったら
人間こんな心境になるものなのかな、などと考えていた。

で、いま41歳になってあらめてこの曲を聴いてみて、
僕は「悲しいけれど年とってゆく」とは思わない。
そんなことを思うのは、
70歳ぐらいになってからでいいと思った。
こんな若年寄みたいなことをいっている場合ではないのだ。
まだまだやりたいこともたくさんあるし、
そのためにはしなきゃいけないことだって山のようにある。
税金だって払わなきゃいけないのだ。
(今日、文京区役所から退職に伴う住民税の納税通知書が届き、
そのあまりにもな金額に卒倒しそうになった
)

以前書いたことの繰り返しになるが、
僕は年齢を重ねることは悪くないと思っている。
10代や20代ではわからなかったことがわかったり、
その当時では楽しみ方を知らなかったことが楽しめたりする。
だから人生は面白い。
そう思えるように、年齢を重ねていきたい。

そして、たとえば白洲次郎さんのように、
若者ではとうてい及ばないカッコいい大人になりたい。
足の長さでは勝てないが、
せめて生き方だけでも白洲次郎さんのようなカッコ良さを
身につけたいものだ。

そのためには日々の積み重ねが肝心である。
ダラダラなんかしてられない。

今年初の猛暑日を記録した今日の午後、
そんなことを思いはしたものの
なかなか仕事モードにアタマは切り替わらず、
乾いたノドをカルピスで潤しながら
グダグダな時間を過ごした
()


2007.08