10cc「アイム・ノット・イン・ラヴ」
先日チラリと書いたロバート・ハリス兄の最新著書に、
キャロル久末さんの話題が書かれていた。
キャロルさんはJ-WAVE草創期からのナビゲーターの一人で、
僕も彼女の番組をよく愛聴していた。
このキャロルさん、
最近めっきり名前を聞かなくなったなと思ったら、
ナントいまはほとんどリタイヤし、
40代にして悠々自適の生活を送っているという。
といっても別に宝くじに当たったとか、
莫大な遺産を相続したというワケではない。
ハリス兄の本によるとキャロルさんは、
以前よりアメリカ人の旦那さんと共同でプロダクションを設立し、
CMプロデューサーやディレクターとして働きながら、
2人でリタイヤできるだけの資産を蓄えてきたという。
そして3・4年前に完全にリタイヤし、
現在はメキシコに質素な家を借り、
旅をしたり、好きな絵を描いたりしながら人生を謳歌しているそうだ。
「この前はフランスに行って、
友達の家に泊まりながらヨーロッパを旅したわ。
改めて自分が『どこにでも行ける』ことを実感しながら、
毎日を過ごしているの」というキャロルさんの言葉が紹介されていた。
(ロバート・ハリス著“ワイルド・アット・ハート”東洋経済新報社刊より引用)
キャロルさんは、以前より素敵な大人の女性だなと思っていたが、
このことをハリス兄の本で知り、ますますその思いを強くした。
さらにハリス兄の本には、こんなエピソードが紹介してあった。
帰国していたキャロルさんがロスに向かうというか帰る際、
ちょうどピークシーズンだったので航空運賃が割高だったという。
そこでキャロルさんはどのルートで帰れば
いちばんチケット代を安く抑えられるか丹念に調べ上げ、
結局6時間余計にかけてソウル経由の飛行機で帰ったという。
これをケチととるか利口ととるかは人それぞれだと思うが、
僕は実に賢いやり方だなと思った。
キャロルさんも6時間長く飛行機に乗っている分、
たっぷり本が読めるからいいじゃないと語っていたという。
僕は正しいお金の使い方というのは、
小さく節約して大きく使うことだと思う。
日々の細々としたものを節約し、
そうして貯めたお金を景気よく使うのだ。
よくシャンプーや洗剤が残り少なくなってきたら
水を入れて使うという人を「セコい」などと馬鹿にする人がいるが、
僕はそうは思わない。
そういう使い方はサイフにやさしいばかりでなく、
環境にもやさしいと思うのだ。
なにひとつデメリットはない。
大いに奨励すべきことだと思う。
だいたいそんな風にしてモノを最後まで大事に使い切る人は、
お金だってムダに使ったりはしないだろう。
よほどの守銭奴でない限り、
そうして貯めたお金を生きたことに使うセンスの持ち主だと思う。
僕はそういうお金の使い方に憧れる。
キャロルさんだって、
夫婦で一生のんびり過ごせる分だけの蓄えがあるのだ。
何も6時間かけて2万円・3万円を節約する必要はない。
でも、キャロルさんのそのお金と時間の使い方は、
すごく優雅だと思った。
キャロルさんがJ-WAVEでナビゲーターをしていたとき、
10ccの『アイム・ノット・イン・ラヴ』が番組内でかけられた。
その際、キャロルさんは10ccのバンド名の由来が、
男性がエクスタシーに達した際に発する平均的な量×メンバー4人分で
10ccということをいった。
僕は10ccについてはあまり詳しくなかったので、
そのキャロルさんの言葉をすっかり信じた。
しかし、このハナシは実は“つくり”で、
真相は10ccが契約したレコード会社の社長が見た夢に
「世界で最も偉大なバンド、10cc」と書かれた看板が出てきたので
縁起を担いで10ccと名付けたという説もある。
どっちの説が正しいかは知らないが、
10ccのバンド名の由来について
サラリと公共の電波で語れるキャロルさんはさすがであった。
まさに大人の女性である。
僕も人生の理想は、ある程度の資産を蓄え、
仕事の目処がついたら日本を離れ、海外で暮らすことである。
キャロルさんのような人生に少しでも近づけるよう、
まだまだ頑張らねばと思った。